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私が観たものだけについて並べています。ファンだと胸をはって言える程 観ているわけではないんです実は。 出演者などのデータに関しては IMDb を 参考にしました。 邦題についてはわかる範囲内で記述しています。情報をお寄せ頂ければ幸いです。

★による評価は独断です。特に、原作への思い入れが強いため、 映画作品として公正に評価できてはいないだろうことをお断りしておきます。

内容に触れるコメントについては[Spoiler!] 印のついたリンクの先にあります。まだ観ていない方は十分ご注意ください。


The Shining (1980) , 「シャイニング」 ★★★★★
言わずと知れた、キューブリック監督作品。恐いよ、これ。 前半で、ホテルがジャックの心理的弱みにつけ入ってゆく過程が 描かれていないのが原作ファンにとっては喰い足りませんが、 キューブリックの演出とジャックニコルソンのキレ具合が 十分に満足させてくれます。 広角のレンズ、役者と並行に動くカメラ、唐突にインサートされるカット、 役者を真正面からとらえるアングル、そして全体の配色 (237号室の紫の家具と緑/紫のカーペットなんて凄すぎてくらくら)。 ただラストにかけての盛り上がりは、原作のようにした方がカタルシスが大き かったんじゃないかな、と、原作ファンは思ってしまうのですが。

The Dead Zone (1983) , 「デッド・ゾーン」 ★★★★
クローネンバーグ監督。地味ですが、ポイントを押さえたしっかりした作り。
原作にある主人公の内面の葛藤は表に出さず、 ストーリーの伏線も単純化して、それがむしろ深みのある作品を作っています。 役者の演技も見応えがあります。照明の使い方がストーリー上の陰影を 際だたせていたのが印象的でした。

Christine (1983) , 「クリスティーン」 ★★
まあ星の数程作られるホラー映画のひとつとして見れば悪くは ないのかもしれなません。が、原作のなかの光るものがすっぱり無くなって しまっているのは残念です。

A Woman in the Room (1983) ★★★★ (Stephen King's Nightshift Collection vol.1収録)
フランク・ダラボンの初監督作品。30分のショートフィルムでありながら、 作品に内在するドラマ性を見抜き、的確に映像化しています。 若さゆえか、気負いが先に立った箇所も見受けられますが、ベースがしっかりしているため それもむしろ新鮮に映る、というのは好意的に過ぎるでしょうか。 この作品を選ぶって時点でひと味違うセンスを感じるな。

Firestarter (1984) , 「ファイアスターター」
ストーリーを移せばいいってもんじゃないでしょう。

The Mist in 3-D Sound (1984) ★★★★
これは映像作品では無いのですが、とりあえずここに入れておきます。 "The Mist" のフルドラマ化音声作品です。73分。カセットで売られています。

キングの作品は映像的であるとしばしば評されます。しかし、キングの映像化作品の うち、原作を読んで読者の頭に広がった映像を越えられたものはあまり無いのでは ないでしょうか (監督独自の映像を作って成功したものはいくつもありますが)。 想像の中の映像があくまで主観的なものであるのに対し、カメラを通した映像は どうしても客観性が入り込んでしまうためなのかもしれません。

で、これは音声のみの作品。ラジオドラマを聴いているみたいな感じですが、 これが良いんです。目を閉じて、ヘッドフォンからの音のみに神経を集中していると、 確かに、頭の中に霧に包まれたグロサリーストアが浮かび、そして生臭い匂いや 肌にべとつく霧の感触までが感じられてきます。ドラマ自体はわりとありがちな 演出で、ラストの処理も個人的には不満なのですが、小説でも映画でもない 独特の体験は、なかなかエキサイティングです。

なお、この作品でDavidを演じているのはWilliam Sadler、彼は映画 「ショーシャンクの空に」でHeywoodを、「グリーン・マイル」で 殺された双子の父親(Klaus Detterick) を演じています。

Cat's Eye (1985) ★★★
3話形式のオムニバス。後半2話しか観てないので何ですが、 それなりに味のある作品だと思います。

Stand By Me (1986) , 「スタンド・バイ・ミー」 ★★★★★+
"The most important things are the hardest things to say". 原作でキングがそう語った、"the most important things" を ロブ・ライナー監督は完璧に映像化してしまいました。脚本、役者、 コリオグラフィー、美術、カメラ、音楽、映画を構成する全ての要素が 奇跡的とも言える完成度の高さで緻密に組み上げられた作品です。 "Shawshank Redemption" のような派手さは有りませんが、見返す度に 味わいが深まります。2次元のフィルムのひとこまひとこまがとらえるのは ほんの一瞬の影像にすぎないのに、それが、表面的でない本物の感情、本物の 人間、本物の森を焼き付けた時、そこには無限の広がりが記録されるのです。

中でも強烈な印象を与えるのは、River Phoenixの演技。それから、 森の土の匂いや照りつける太陽の暑さ、そして夕立ちの雨の匂いまで 感じられそうなcinematography。自分の心の中にしまってある、誰にも 言えない宝物にそっと手を触れたような感覚を与えてくれる映画です。 何年もの時間を置いて、何度も観るのが良いです。

The Running Man (1987) , 「バトルランナー」 0
………ある意味素晴らしい、というか、凄まじいセンス。評価不可能。 とにかく脱力したい方、とにかく若いシュワルツェネッガーを観たい方はどうぞ。 原作とはほとんど関連ありません。

Pet Sematary (1989) , 「ペット・セメタリー」 ★★
ドラマ部分の作りは悪くないんですが、肝心なシーン --- 墓地のシーンとか、ミクマク族の埋葬地へ至る道だとか--- の作りがちょっとチープ。主人公は思い余って evil な力を 求めてしまうわけだけど、その葛藤を描くには、 evil な道は思いっきり妖しく描いて欲しいところです。 「そっちにいっちゃだめだ!」と思わせるだけの説得力が あまり感じられないんですねえ。

Misery (1990) , 「ミザリー」 ★★★★★
Kathy Batesの演技、これに尽きます。原作ほどの過激さはない ものの、スクリーン上での彼女の存在感には圧倒的です。

キングの作品って長いんで、映画のように2時間に収めようとすると 原作の要素のかなりの部分を削らなくちゃならない。でも、ただ ストーリーを表面的に追ったんじゃ骨抜きになってしまいます。 キング作品の映画化で成功したものは、「切り口」がはっきり しているものだと言えるでしょう。Miseryでは原作にあった残忍な部分を カットして、彼女の狂気性をBatesの演技で表すことに賭けました。 そしてそれは十分に成功しています。

Dolores Claiborne (1994) , 「黙秘」 ★★★★★
個人的には、原作を凌駕する映画かと。 原作ではDoloresが相当にアクの強いキャラクタでしたが (全てDoloresの語り、という形をとっている原作の場合、 Dolores自身のキャラクタをかなり特別にする必要があったの かもしれません)、映画では人間対人間のドラマに焦点を絞りました。 Kathy Bates と Jennifer Leigh が親子の葛藤と理解を見事に演じています。

Shawshank Redemption (1994) , 「ショーシャンクの空に」 ★★★★★
ケーブルTVで観たのもかぞえると10回近く観た映画。 キング作品のというだけでなく、私のこれまでに観た映画の中で ベストの一つ。原作のエッセンスを見事に映像化しています。 言葉で語ると野暮になってしまいそうなので、とにかく観て下さい。

The Mangler (1995)
なんだか良くわかりません。

The Boogeyman (1995) (Stephen King's Nightshift Collection vol.1収録)
Jeffrey Schiro監督、フィルムスクールの学生作品。 話のポイントを掴み損ねているように私には思えました。

The Thinner (1996) , 「痩せゆく男」 ★★★
Tom Holland監督。映画としての出来は並だけど、メイクは力入ってます。 小説ではいまひとつ実感が湧かなかった主人公の痩せ細って行く姿が 生々しいです。ラストはちょっと頂けないのだけれど。 キングは薬屋の主人としてカメオ出演していて、 なかなかキュートな演技を見せてくれます。

The Shining (miniseries) (1997) , 「シャイニング」 ★★★
キング自身のたっての希望でのリメイク。キングはプロデューサ、 脚本と、いつものように出演も。
観てて悲鳴をあげてしまうようなホラーを期待して観ると がっかりするかもしれません。キングは6時間かけて、Jack Torrance の内面の崩壊と狂気をじっくりと描きました。仮面舞踏会のシーン等は 恐ろしいというよりもコミカルです (キング自身の扮する幽霊も笑えるし)。 崩壊して行く家族の関係をもう少し濃く描いて欲しかったかなあ、 とも思いますが。ラストは原作とちょっと変えてあります。 詳しくは
ここ [Spoiler!]で。

Apt Pupil (1998) , 「ゴールデンボーイ」 ★★★
Todd (Brad Renfro) と Dussander (Ian McKellen) の、微妙に変化してゆく 歪んだ関係が、見事な演技と編集によって表現されています。 場面場面の緊張感もなかなかで、観ていてぞくぞくします。 ただ、決め手となる「凄み」---取り憑かれた人間の目の奥にある深い深い闇--- がちょっと欠けていたようで、全体として平板な印象になってしまいました。 佳作だと思います。

Storm of the Century (miniseries) (1999) , 「ストーム・オブ・ザ・センチュリー」 ★★★
歴史的な嵐が米東海岸を襲った日、嵐に閉じ込められた小さな島で、 人々は恐怖と苦渋の選択を迫られます。ABCのTVミニシリーズ (2時間×3夜) 用に キングが脚本を書き下ろした、「TVのための小説」。

なるほど確かに、これは映像表現の形を借りた小説です。 各シーンの後ろにキングの文章が透けてみえるような作り方と言いましょうか。 映像的にインパクトが少ないのは、あるいは全国放送のための放送コード により制限がかかったからかもしれないが、少々物足りなかったです。 ドラマとしては丁寧に作ってあるし、 いかにもキングという雰囲気はあるので、見て損はないと思います。

The Green Mile (1999) , 「グリーン・マイル」 ★★★★★
大恐慌下のアメリカ南部の死刑囚官房で起きた奇跡を通して、 生きることの意味、罰と救済とは何かを問います。 監督は "Shawshank Redemption" のFrank Darabont。 予告編でばんばん電球が飛びまくっていたので、ひょっとしてハリウッド風味こてこてに なっちゃったんじゃないかと心配していたのですが、とんでもない。 3時間に及ぶ長尺をドラマのみで見せてくれる、見事な作品でした。

原作の、老人の語り口で切れ切れに語られるエピソードで伏線を積み上げてゆく 構成は変えられ、映画のほとんどがCold Mountain刑務所Eブロックでの 話になりました。しかし、Darabont監督は原作のエッセンスを見事に取り込んだと言えます。 場所をまず作り、その上で役者に「役そのものを生きさせる」ことにより、 誰を中心とするでもなく、役者の絡みそのものによって物語の伏線をつむぎだす ことに成功しています。ドラマの作り方としては、"Shawshank〜" よりむしろ Darabont監督の習作である"Woman in the Room" に近いものがあるかもしれません。

ジェットコースターのように乗れば楽しませてくれる、という映画ではありません。 観客はじっくり腰を据えて、1930年代のアメリカに入り込んで、看守のPaul Edgecomb、 Brutus、Deanらと共に、奇跡を、運命を体験しなければならないのです。 しかし、それだけの価値のある映画であると思います。

Hearts in Atlantis (2001) , 「アトランティスのこころ」 ★★★★★
小説 ``Hearts in Atlantis'' の前半部、``Low men in yellow coats'' を中心とした映画化です。監督はScott Hicks。原作の設定の一部が除かれて いますが、ストーリーはほぼ原作に忠実です。

Hicks監督の作品で際立つのは映像の美しさですが、この作品も例外ではありません。 決して押しつけがましくないのですが、緻密に組み立てられた映像は、 原作を読んで心の中に描いていたイメージを超えた、と感じました。 坂の途中の一軒家、丘の下に広がる街並み、公園の裏の雑木林の中の小川。 子供の頃、暗くなるまで遊んだ、輝いていた世界が、そこに再現されていました。 その中で、子供から大人への一歩を踏み出す主人公が、丁寧に描かれます。

ペースはややゆったりめですが、演技の間を活かした演出だと感じました。

あと特筆すべきは少女のCarol Garber役のMika Boorem。可愛いぞ。

Dreamcatcher (2003) , 「ドリームキャッチャー」 ★★
うーん、これはどう自分の中で評価してよいのか、迷う作品です。 かなり長大な原作をどういう切り口で料理するか、というのがひとつの ポイントだと思うのですが、映画そのものはいろんな方向へ伸びようとして 結局何をやりたいんだかよくわからない感じでした。

映画の構成要素のいくつかはかなりイイ感じに惹かれるものがあります。 プロローグから山小屋までの場面とか、山小屋内でのアレとか。 Jonesyの記憶倉庫のイメージも良く作ってあるし、 少年時代の想い出のシーンも悪くない。 ただ全部くっつけると、なにかちぐはぐで中途半端に終ってしまった印象だけが 残りました。


[Addicted to Stephen King] [A Slice of My Life]
Shiro Kawai
shiro@lava.net