1998年5月

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5/31(Sun)

明日デモする分が出来上がってちょびっと幸せ。 結局一番大事なかつ大変な部分は、「詰まるところ我々は一体何が欲しいのか」 というのを極めて正確に知ることだ。と改めて思い知る。 どんなに忙しくても、ゴールが見えないことの苦しさに比べれば なんてことはない。

今日で5月も終り。今年は異常気象とかで (エルニーニョの影響か?) 5月半ばまでハワイらしくないぐずついた天候が多かったのだけど、 昨日今日などはもうすっかり夏である。 私は夏大好き人間なので、くらくらするようなこの日射しがもうたまらん。 それでいて、日本より降水量は多いと思うのだが、 蒸し暑いという感じが無いのが不思議である。

5/30(Sat)

働いてばかりでは何なので、踊って来た。 しかし明日は午後サーバーがメンテナンスのためダウンするから、 午前中に出なければ、というわけで、 「まだ1時にもなってないじゃんよー」とぶーたれる友人を振り切って帰る。

何でそんなに働くのかって、そりゃおまえさん、 「これは俺が作ったんだぜぇ」 って自慢できるものを作りたいからに決ってんじゃん。 つうかもうちょっとひねくれてて、言わないんだけど心の中で 「ふっ。世界広しと言えどこれが出来るのは俺くらいのもんだぜ」 なーんて思いたいのさ。何かただの嫌なやつかもしれないけど。 ナルシストだからね。自分で眺めてうーん我ながらすごいぜと ほれぼれするのが好きなのさ。でなけりゃやってる意味がない。

5/29(Fri) プロダクション

第0段階
11時出社、17時帰宅。お気楽極楽。
第1段階
11時出社、20時帰宅。ちょっと作ってみよっか。
第2段階
11時出社、24時帰宅。順調順調。
第3段階
11時出社、28時帰宅。何故こんなにやることがあるのだ。
末期症状
えーと、家に帰ってシャワーだけ浴びて来ます。あとパンツも替えなくちゃ。

うーん、もう第3段階に突入しつつあるような。

5/27(Wed)

あ、なんか腹が減ってると思ったら晩飯を食べてないや。 今2:30am。食材がタマネギとラーメンくらいしかない。しくしく。 ロスにいた頃は、「自炊してます」と胸を張って言えるくらいだったのに。 当時、アパートの向かいに24hのスーパーマーケットがあったのが やっぱり便利だったなあ。

日本にいたら間違い無くコンビニ弁当生活をしているところだろうが、 こちらの24hのスーパー等では夜中には「すぐ食べられるもの」というのは あまり売っていない。無いことは無いのだが、はっきり言って、不味い。 冷凍食品とか菓子パン状のものとかいくつか試してみたのだが、不味い。 自分は味にこだわらない方だと思うのだがね。 適当に野菜と肉を買って来て自分で適当に炒めて食べる方がずっとましである (私の「適当に」というのは「適切に」ではなく「投げやりに」に近いので、 それはそれは恐ろしいものが出来る。他人が食べたがっても私は止めるであろう)。

健康への良し悪しは別として、 インスタント食品における日本の技術は凄いものだと思う。

5/26(Tue) ゲーム会社面接事情

げっ。もう5月も終ろうとしているではないか。予定が既に2週間押し。 予期せぬ事態でコア部分をほぼ完全に書き直す羽目になったので 無理もないのだけれど、 本運用開始を待ち望んでいるプロダクションの人々には申し訳ない。

とにかく現タスクは絶対的に人手不足なので、以前から一人雇ってくれるよう 頼んでいたのだが、かなり好条件の応募者がみつかって今日面接した。 修士をちょうど終えるところで、経験はあまりないけれど、 なかなか良い感触である。来てもらえると良いのだが。

採用選考の手続きは会社によって異なると思うのだが、 うちの会社では、 Human Resourceセクションが窓口として機能するものの、 実際の選考は現場主体である (但し、採用枠は予算に制限される)。 現場から「こういう人が欲しい」というリクエストをあげておく。 応募者があると(うちは通年採用)、そのリクエストでスクリーニングされてから、 現場の責任者にレジュメ (履歴書) や提出作品が回ってくる。 で、条件に合いそうだという人がいれば面接をアレンジ。 現場の担当者も関わって面接し、OKなら採用通知。 シニアクラスのポジションの場合は、マネジメント能力も問われるので、 偉い人も選考過程に加わったりする場合もある。

「こういう人材が欲しい」というリクエストは時に応じて変化するので、 募集要項などには一般的なことしか書いていないのだが、現場レベルでは かなりスペシフィックで具体的であることが多い。入学試験のように、 点数の高い人を採るわけでは無いのである。まんべんなくそこそこに出来る 人よりは、その時々の条件に合致する部分で他人には負けない何かを 持っている人が欲しい。しかし、この「条件に合致する人」というのが なかなか見付からないものなのだ。また、凄い能力を持っている人でも、 こちら側にふさわしいポジションが無かったり予算が無かったりで採用出来ない こともある。

だから、企業の採用選考においては、理屈を言えば企業と応募者は対等の 立場なんである。企業側は「欲しい人物像」があり、応募者側は「やりたい 仕事像」がある。その二つが運良く一致した時、契約が成立する。 選考に落ちたということは、その条件が合わなかったというだけのことでしかない。 また、人を一人雇うのは雇う側にとっても高い買い物だ。 応募者だけが一方的に試されるのではなく、雇う側も同時に試されている。

面接とはそういう場だから、応募者には大前提として、 自分は何がやりたいのか、そして現在何が出来るのか、 この2点を具体的に明らかにしておいて欲しい。 もちろん採用側も、何を期待して、何を提供できるのか ということを具体的に説明する必要があるが。 これらが揃っていて始めて面接する意味があるんで、 何がやりたいんだかか分かってない人は就職活動なんてするだけ時間の無駄。 (ただし、仕事以外の部分に人生を賭ける生き方もあるわけで、 そう覚悟を決めているのなら福利厚生とか安定性とかを見て企業に応募するのも OKだと思う。雇う方も、給料に見合う分だけ仕事してくれれば 構わないわけだし。)

ところで、米国での応募者のレジュメを見ていつも思うのだけれど、 日本のあの定型の履歴書って何とかならないのだろうか。 どうでも良いことを書く欄ばかり大きくて、 肝心なことを書く欄が隅っこにあったりする (だから一番重要なことを曖昧な言葉で書く人が多い)。 そのくせ、手書きじゃなきゃ駄目とかどうでも良いことに拘ったりして。 就職活動中の人がここ読んでいるかどうか知らないけれど、 履歴書に書くべき事項を重要度の順に並べると、

  1. 氏名と連絡先
  2. Objectives。どういった仕事をしたいのか。具体的に。
  3. Skill。何が出来るのか。具体的に。
  4. 職歴。新卒の場合でもバイト歴。具体的に。
  5. 学歴。学校名を知りたいのではなく、どんなことをやって来たのか 具体的に。
  6. 上記に追加する形で、本人の能力の記述。 客観的な裏付けもあると良い。
逆に無くても良いもの (職種に依存するかもしれないけれど、 これらが記入されてなくて困る場合って想像出来ない)。

5/25(Mon) "Valkyries" と、自分の心を縛るもの

パウロ・コエーリョの "Valkyries" を徹夜で読む。衝撃を受ける。 自分が今まで気づかなかったものを突き付けられたから。 いや、気づかなかったんじゃない。 見ようとしていなかっただけなのだけれど。

そのことについて書くのはとても難しいのだけれど、 まさに伝えずに来たこと自体が問題の根っ子だったから。 この日記は、友人への近況報告というコンセプトだから、 やっぱりここにも書くべきだろう。 なんか重い語り口になっちゃうけど、深刻ぶるのは私の癖だから。 本人は相変わらず能天気なのだよん、ということを心に置いて読んどくれ。


3年前。私はひとつの決意をした。 「アルケミスト」の少年サンチャゴのように、 何があろうと、自分の心に耳を傾けて、夢を追おう。 そのためになら、他の全ては捨てられる。 だって、逃げてもどこにも行き場がないということを知ってしまったから。

このコミットメントにより、私は自由ということの意味を知った。 いかなる社会的境遇も、生活上の事件も、もはや自分を縛ることは出来ない。 自分の心を閉じ込めていた檻は、価値観とか、常識とか、運命とか、 いろいろに呼ばれるけど、結局自分が作り出したものだった。 「世界とはこういうものだ」という観念の檻。
信頼を寄せていた人に裏切られた。辛い。
何故あんなことが平気で出来るんだ。信じられない。
借金を抱えた。どうやって返そう。
失明するかもしれない。どうしよう。
心を檻に閉じ込めている限り、私はこういったことに対処する術を知らなかった。

心を檻から出してやった時、本当のことが分かった。 人生から与えられる辛さや悲しみや不安より、心を閉じ込めておくことの方が ずっと辛いのだということ。 他人は決して自分の心を傷つけることは出来ない。 自分で自分を傷つけていたのだということ。 人は、他人を裏切ることは出来ない。自分の心を裏切ることしか出来ないということ。

一度自由を知ってしまった私の心は、 どんなことが起ころうと、二度と檻に入ることは無いだろう。


だが、その決意に至る過程で、何人かの身近な人を傷つけることになった。 人は、自分が構築した世界観が崩れることに対して、恐ろしく抵抗する。 世界の不条理性から理性を守るために、人は心の回りに壁を築く。 だがそれに慣れてしまうと、もう壁が要らなくなっても、 壁を崩されることに非常な恐怖を感じるのだ。 「人は人を傷つけることは出来ない」と言うけれど、自分が折れていれば 傷つくことは無かっただろうと思えば気にかかる。

そして、別れ。 お互いが運命の人だと感じていながら、一緒には居られなかった。 そのまま傷を嘗めあっていては、破綻することが分かってしまったからだ。 本当に好きだった。でも、幸福になるためにはそれぞれの夢を追う以外に 方法が無いことを二人とも知っていた。

それを体験した時、私は知らず知らずのうちに、 自分で自分にpact (約束、契約)を科したのだった。
こんな大変なこと、迂闊に人には勧めないでおこう、ということ。
多分説明しても分かってもらえないから時間の無駄だ。それより 自分の夢を実現して、行動で見せた方が手っ取り早い、ということ。
それから、パートナーとなるべき人は、私と同じ決意をしていて、 かつ夢を共有できる人でなければならない、ということ。 だって夢の為に他の全てを捨てられるってことは、夢とパートナーと どちらかを選ぶ場面になったら夢を選ぶってことだからね。

これが落し穴だったのだ。 何物にも縛られないはずの私の心を縛る唯一の方法、 それが、それ自身によるpactだった。


"Break the pact"。 "Valkyrie" の中のその言葉が私の心に突き刺さった。 この縛りを解かない限り、人は、夢を実現する寸前に、 自らの手で夢を潰してしまう。悪循環は断たねばならない。今ここで。

...って、深刻ぶって書いて来たけど、簡単にまとめると、 一人で黙って恰好つけても仕方ない、遠慮などせず他人を巻き込め、 好きになったら押し倒せ (TPOは考えて)。っちうことだね。

5/22(Fri) 在外投票

ハワイの領事館からお知らせが来た。2000年から国外在住の日本人も 選挙に投票できるようになるそうだ。 外から眺めて文句言ってるより、一票でも影響があるほうが良いことは確かだ。 でも一銭も税金を納めていない日本国で投票出来て、 収入の四割を納めている米国で投票出来ないというのも何か変。 代表なくして課税なしって言ったのって、この国のご先祖様じゃなかったっけ。 まあ投票権が無いかわりに、陪審員義務も無いんだけどね。

社会を現実的に運用してゆくために、何らかのキマリゴトが必要、 というのは確か。そして、全ての社会に等しく適用出来るキマリゴトなんて そうそうは作れないから、地理的文化的にある程度共通の基盤がある集団で 自治をする、っていうのも現実的な回答。その一つの単位として、 国家ってのは有り得る解だと思う。国境の無い、全ては一つの世界を imagineできなくはないけれど、その際にも適当な単位での自治構造は 必要であろう。

ただ、そのような自治単位が階層的に構成されなければならないかと言うと、 必ずしもそうでは無いような気がする。中央集権的な構造は確かに考えるのは 楽なのだが、非常に巧みに作れば分散した単位がうまく協調できるような 構造も作れるのではなかろうか。ツリーではなくネットワーク。 権力は上部組織にあるのではなく、分散した中にメタな形で存在する。 意志決定の権限がプロトコルの中に上手に埋め込まれている状態。 不可能では無いような気がするのだ。 ただのルールは破る人がいれば意味が無くなる。 しかし、メタなルールは、破るという可能性さえそのルール自身に 取り込んでしまうことができるんじゃないだろうか。

地図なんかを売っている店を見つける度に、探すものがある。 部屋に飾りたくて、ずいぶん探したけど、未だに見付からない。 国境の無い地球儀。そんなもの作っても売れないのだろうか。

5/21(Thu) ハイスクール・パニック

というのはStephen Kingがもう20年以上前に出した小説 "Rage" の邦題であるが、 それを地で行くような事件がまた起きた。 今朝の オレゴン州の事件である。 朝飯を食ってていきなり撃たれるとはタフな世の中である。 高校時代に好きなことを好きなだけやって、 自分が何者であるかを発見する、なんてことはもはや不可能な 世の中になってしまったのだろうか。

Kingの小説の方は、簡単に言ってしまえば 高校生の主人公がいきなり教師2名を射殺し、生徒を人質にとって教室に立てこもる話。 つかみの部分はまさしく最近頻発するschool shootingそのものだ。 だが、現実の事件と決定的に異なる要素がある。 立てこもった教室内で主人公が議長をつとめる「ホームルーム」--- そこで明らかにされるのは、人の心に普遍的に存在する暗黒面である。 引き金を引いた人間だけが特殊なのではない。 むしろ、弾劾されるのはその暗黒面を認めない人間なのである。

ネタバレになってしまうのであまり詳しくは書けないが、 小説では、クラスメートは主人公をある意味で理解し、 それを秘密として共有する。 銃撃という行為が人間の普段被っているヴェールをはぎとったからこそ 得られた秘密なのかも知れない。だが、そこまで追い詰められなくても 共有できることはあるはずなのではないか。 現実の世界では、そこに至る以前に、 引き金を引いてしまいそうな人間はますます孤立し、 暗黒面を見て見ぬ振りをする人々は、事件が起こってから泣き叫ぶ。

特効薬があるわけではない。だが、人の心の暗闇に目をつぶっている限り、 同様の事件は無くならないだろう。

5/20(Wed) Godzilla

"SIZE DOES MATTER"。会社を抜け出して観てきました "Godzilla"。 まあRoland Emmerichだし、映画というよりはお祭りみたいなもんでしょ、 とあまり期待しないで行って、期待通り。 いや、実際のところ、前半2/3はエフェクツを除いては目を覆うばかりの出来。 予告編だけ観とけば充分、なんて感じなんだけど、後半1/3でかなり持ち直す。 というか、後半は相当の迫力。 あの流れにするんだったら、前半もっとやりようがあったんじゃないかなあ、 もったい無いな。

5/19(Tue) 峠超え

んがー、きつい。 一週間前に壁にぶち当たってから、沈思黙考熟考熟慮試行錯誤七転八倒の末、 これまでの実装は拡張性が無いから捨てざるを得ないと決定。 ある根本的な部分の設計を変更。 今までと互換性を保ちつつ少しづつ変更していっているのだ。 だが、内側がドラスティックに変わっているのに、見てくれは全く変わっていない。 達成度が目に見えないというのはきつい。

こういうのは、心理的には、チャリンコでの峠超えと一緒であろうか。 何が楽しくてしんどい思いをするのか、と言えば、未だ見えぬ峠を超えた時、 現在の自分とは確実に異なる所に居る、という希望である。 あの山の向こうには、また見たことのない景色が広がっているはず。 それを見たい、その一心が、他の全てを帳消しにする。

でも実は自分をいぢめるのが好きなだけだったりして。

5/18(Mon) ディスク整理で夜は更けて

4:00am。オフィスにて。 何故か、なりゆきでプロダクションデータのディスクの管理などもやっている。 データの移し替えの際は全員のアクセスを禁止しなければならないので、 夜中にしか作業出来ないのだ。 なんだか大学院の時に学部のサーバを管理していたのを思い出すなあ。 当時は2GBだか4GBだかのハードディスクが入ったってんで喜んでいた ような気がするが。現在その数百倍のディスクを扱っていて容量不足に 悩もうとは。 ディスクはあるだけ使うってのは本当だね。 特にアーティストって奴は、放っとくとどんどん作り込む人種なのだな。

このディスク管理業務のような、本来はプロダクションの テクニカルサポート部門というものを作ってやるべき業務をやっていると、 「本来の業務でないのにお疲れ様です」などと言われることもあるが、 私にしてみればもっけの幸いなんである。フルCGのフィーチャーフィルムの プロダクション管理技法が実験出来るなんて機会は滅多に無い。 私の専門分野ではないのだけれど、 一応、ここ半年程の首を突っ込んだ範囲で、おぼろげながら 仮説めいたものは形作られてきたので、是非検証してみたいのだ。

フルCGフィルムの管理技法は、通常の映画のCGエフェクトやら CM等の短いものとはかなり異なるべきなんじゃないか、という感触がある。 扱うデータの量と、それを保存しておかなければならない期間とが それぞれひとけたづつ大きいという点。さらに、全てのデータは相互に 依存し合っているため、データ間の関係性は二桁のオーダーで複雑化する。 いや、依存関係の時間的変化も含めたらもっとだ。 現在世界中にプロダクションは多けれど、 このへんのノウハウを確立しているのってPixarくらいなんじゃなかろうか。 現在システムを構築中、という話はいくつか聞くのだが。

さて、うちは破綻しないシステムが組めるかな。 というか、自分が組めなかったら終りなのだけど。 1年後には答えが出ていることだろう。たのしみ。

5/17(Sun) Quest for Camelot/アルケミスト

昨日は、テニスの後、なんとなく鍋パーティー部隊とは別れて、 友人L、Cと食事など。その後LがWarner Brosのアニメーション "Quest for Camelot" をチェックしたいと言うのでKahala mallへ観に行く。 だが、映画の方は特筆すべきこと無し。欠点は無いんだけど、 音楽もアニメーションも主張するところのない凡作になってしまっていた。 評を書こうにも何も印象が残っていない。まあ他山の石としておこう。 後で調べたら悪役の声はGary Oldmanだったのだなあ。勿体無い。

映画まで時間があったので、近くの本屋 Barnes&Nobles をぶらついていたところ、 パウロ・コエーリョの "The Alchemist" を見つけた。 邦訳(「アルケミスト」)を読んで無茶苦茶感動し、心のバイブルとしたものだったが、 日本を出る時に友人にあげてしまったので手元に無かったのだった。 久々に読み返してみたくて買う。ついでにまだ邦訳の無かった彼の他作品も。 カウンターに持って行ったら、本屋のお兄さんが "The Alchemist" を 手に取って、「おお、これは良い本だね」。 友人Cが「何買ったんだ?」というから見せたら、「おお、これは俺も好きだ。 仏語版を読んだよ」(Cの母国語は仏語)。いやー、本当に全世界ベストセラー なのだなあとなんだか感心。

「アルケミスト」は、これ以上無いくらい深いテーマをこれ以上無いくらい 分かりやすい言葉で著しているので、私なんぞが語る必要もない。 ただ、読む度に心動かされ、涙ぐんでしまう。 進むべき道を知りながらぐずぐずしているときに読むと大変良い。

帰って来たら別の友人からTEL。飲みへの誘い。 友人のアパートメントに押しかけ、空が白むまで、語り合ってしまった。 昨日の出来事を今記しているのはそういうわけである。

ところで「アルケミスト」の英語版を読んで意外な発見。 錬金術師が持っていたのは、 確か邦訳では「生命の薬」となっていたと思うのだが、英語では "Elixir of Life" なのか。FFの「エリクサー」はこれのことなのだね。

5/15(Fri) He got game

週末にサーバーのリコンフィグレーションを行うので、 今日の仕事は12時前に切り上げ。 明日、システム管理部門が仕事しているうちに遊んで (テニス+鍋パーティーの予定)、日曜日にまた仕事。 月曜に皆が来るまでには万事が順調に動いているようにしておかねばならない。

さて、今週の映画は "He got game"。父親は息子にバスケットボールを教えた。 父親は酔ったはずみで母親を突き飛ばし、死なせてしまった。 父親が服役している間、息子は妹を支えつつ、バスケの才能を現し、 ハイスクールのリーグで全米一となり、卒業を控えて有力大学からもプロからも 引く手あまた。スター選手と持てはやされる影に、巨額の金と思惑が絡む。 父親は州知事から裏取り引きを申し出られた。ひいきのチームに息子が入るよう 説得して欲しい。成功すれば刑期を減らしてやろう。

テーマも良いし、シーン毎のドラマも映像表現もパワーがあって、 他の映画とは一線を画している、と思う。思うのだけれど、何かどこかで 滑べってしまった感じがする。肝心の息子がどうもはっきりしない。 父親のDenzel Washingtonは良いんだけど、それが逆に息子のキャラクタを 埋没させてしまっているような。 パワーだけでなく、輝く瞬間を見せて欲しかった。

5/14(Thu)

昨日は夜飲んだくれてしまったので、今日はきりきり仕事。 長いトンネルを抜け、ようやく先が見えて来て、実作業に取り掛かっている のだけれど、それもやっぱり時間がかかるのだなあ。時間がどんどん過ぎて行く。 以前の霧の中を手探りでさまよっていた頃より精神的には楽になったが、 今度はスケジュールとのからみで別の意味でプレッシャーが...

夕食に、最近見つけた韓国風中華料理屋に行く。安くてうまい。 定食屋みたいな感じで、 要するに日本にある普通の中華料理屋の韓国版なのだろう。 メニューが韓国語 (一応英語もついてるけど)。ハングルはゆっくりなら 読めるようになってきたのだが、単語を知らないから何が何だかわからない。 でもとりあえず旨いので、同僚のLと、メニューにあるものを順番にオーダー していっている。全部制覇するまでまだしばらくかかるから、当分楽しめそうだ。

5/13(Wed) 或る運動音痴のその後

夜、同僚とテニス。その後仕事を残して来たので戻るつもりだったが、 食事がてらビールなど飲んでしまうと (汗の後のビール、たまらん) もうすっかり くつろぎモード。その後つい歌いになど行ってしまう。ま、時にはこういうのも 必要だよね。

テニスはごくごく最近始めた。日本に居る時に、2回だけやったことがある。 通算で7回目くらい。まともに習っているわけでもなく、その時々で得意な友人に 教わっているだけだから、まあ下手くそもいいところである。 今日はボールを2個無くした。それでも、身体を動かすのは楽しい。

運動に関しては、ついぞ得意だったためしがない。小学校にあがりたての頃は 病気がちで学校を休んでばかりいたし、心機一転中学校でサッカー部などに 入ってみたがついていけず挫折。まあ勉強が出来て運動が出来ないという ガリ勉君パターンだったのだ。特に球技は悲惨で、とにかく球に当たらないか、 当たってもとんでもない方向に飛んで行く。

子供の頃に植え付けられた苦手意識はなかなか消えない。 演劇部や劇団に所属したことで、体力的なコンプレックスが解消された (一部には演劇部というと色白の文学少女なんかがいるようなステレオタイプが あるようだが、実情は筋トレもばりばりやる文化系体育部である)ため、 球を使わないスポーツ---自転車とか水泳とか---はするようになったものの、 球技に関してはやはり抵抗があった。

ところがロスに来て、さあ周囲に知り合いは居ない、言葉もすらすらとは 通じない、となると、身体を動かすのがコミュニケーションの一番の早道である ことに気づいたのだ。また、開放的でイージーなカリフォルニアの雰囲気が、 新しいことを始めるのに抵抗を無くさせた。インラインスケートとホッケー、 ビーチバレー、ボディボード、上手い人も下手な人も混ざってやってみれば、 なかなか面白いではないか。

振りかえってみると、以前は「上手にやらなければ恥ずかしい」という考えに 縛られ過ぎていたように思う。誰でも最初からうまく出来るわけはない。 まずやってみて、楽しんで、うまくなりたいと思うのはそれからでも良いじゃないか。 そんなふうに考えると、ずいぶん楽になった。おかげで今日も恥ずかしげもなく 空振りだのホームランだの、大笑いしながらやらかして、ああビールが旨い。

5/12(Tue) 独創性へのプレッシャー

相変わらず雨がちだが、ハワイらしくお天気雨が多くなって来た。 ハワイの天気雨はすごい。かんかん日が照っているのにざんざか降って来る。 そしてすかっと虹が出る。虹を見たのも今日で5日連続くらいかもしれない。

仕事の関係で最近のJavaの動向を調べたら、 2〜3年前に私が大学院で考えていたようなことが もう手の届くところに来ているようだ。 ユーザインタフェースのセマンティクスと表現の分離という ある意味古典的な問題なのだが、 現在のように情報処理がネットワークを通じてより個人の生活に 密着してくるようになると、個々のユーザの要請に応じたインタフェース環境を どこにでも持って行ける (personalized, portable) という技術は便利だろう。 個々のユーザの要請の中には、目が見えないから音声インタフェースで、 といったものも含めばさらに便利。とまあそんなことを考えていた わけだが、Javaには Swingなんてのがあるし、 アクセシビリティの考慮もされてる。 私がそんなに先端を走っていなかったのか、世間の進歩が速いのか。 まあ多分前者だろう。

とにかく院で研究していた頃は、今までの世の中にないものを やらなければならない、というプレッシャーをひしひしと感じていた。 もちろん、誰かが既にやっている研究を後追いしても意味がないんで、 当然の要請なんであるが。 それでも研究そのものへの興味よりもそんなプレッシャーの方が先に立って しまうとなかなか精神的にきつい。やりたくてやっていた研究のはずなのに、 それが「これはまだ誰もやってないからやる」、みたいな感じになってきて しまう。しまいに、何で同世代の他の人が働いているのに自分はのうのうと 学生をやっているのだろうなどと考え出すともう最悪。

一時期そんなんで煮詰まっていたことがあった。 出発点に戻るため、足を使って現場回りをした。学生という身分を活かして いろんなところに見学に行かせてもらい、 興味を持ったところに半ば押しかけでバイトしたりして、 何故技術が必要とされているのか、肌で感じようとしたのだ。 これは非常に役に立った。ひとつの単純な事実を確認出来たからである。

自分がある物を作るのは、第一に、自分がそれを必要としているから。 第二に、他にそれを必要としている人がいるから。 これを確信できれば、もう何も理由づけは要らない。

同時に、独創性へのプレッシャーも消えていった。 そもそも既にある物に対しては、上記の理由からさほど作ってみたいという 強い欲求を感じないのである。逆に、心底作ってみたいと思うものは、 結果的にこれまで誰も作ったことのないものになる。 まあ同時進行で別の人もやっていて、発表が先を越されてしまうという ことはあり得るが、そこまで心配して気を揉んでいる暇があるなら、 さっさと作ってしまえば良いのだ。

まあ、基礎研究よりもかなり現場に近いところに居て、 論文の数より出来上がったモノが重視される環境だからそう思えるのだが。 まさにその点で、自分はには現場が合ってたんだなと思う。

5/11(Mon) 瞑想

今朝は結局6:30迄。ホッケーに行くには7:30に起きなければ ならないが絶対無理なのでパスして、3時間の睡眠を確保。 で、目が覚めてみれば、昨日のイライラも大したことじゃ無いように思えてくる。 要するに自分が壁にぶつかっているのでプレッシャーを感じていただけだ。 落ち着いて壁の穴を探してみれば... 大変ではあるけれど、 何とかなりそうじゃん。

普段私は7時間くらい眠っていが、 実際のところ、肉体的な疲労は3〜4時間の睡眠で回復できるらしい (数年前の「こころの科学」だかの睡眠特集に そんな記事が載っていたような覚えが)。 とは言え、それは常にベストな睡眠がとれたらの話で、 精神的にストレスがかかっていたりすると体力が回復できるような 眠りにはならない。 イライラしつつ眠るなどというのは、せっかくの 貴重な睡眠タイムを無駄に過ごしているということだ。

だいたい睡眠時間を削らなければならない程スケジュールが詰まっている時は、 精神的にもプレッシャーがかかっていることが多い。 そんな時は、寝る前に瞑想とヨガをちょろっとやって寝るのだ。 これがなかなかキモチイイんである。 なに、深く考えずに、ただ深呼吸して心を落ち着けるだけで良い。 慣れないうちは瞑想と妄想の区別がつけにくいが、 コツをつかめば簡単だ。

考えのしっぽを追いかけまわすのをやめて、「そこにいる (being)」状態 を作る。考えは次々と現われるけど、それらにとらわれない。 すると、考えにひきずりまわされていた時には気づかなかったことが いろいろ見えて来る。脳味噌の力が抜けて、延随の辺りでせき止めていた 身体の隅々からの情報がどっと流れ込んで来る。気づかぬうちに力んでいた 筋肉がほぐれてくる。さあ寝る準備が整った。

5/10(Sun) 大ハマリ/家族

週末を潰せばなんとかなる、と考えていた仕事だったが、 土曜はパーティーに行って酔っ払ってそのまま今日の昼まで寝こけてしまい、 結局日曜にひーひー言うはめに。しかもデータは壊れるは、 同僚のKに書いてもらったコードが使えないことが判明するはで、 朝3:00まで粘るがあきらめて帰ってきた。これ以上は他の人のデータが ないと何もできん。帰って来ても寝られるわけではなく、 今後の開発戦略を練らなければならないので、 今夜は徹夜だなあ。 明朝のホッケーは参加するって言っちゃったけど、きついなあ。

Kのコードが使えないのは誤算であった。いや、ロジカルには正しいのだが、 インタフェースがこれじゃ一般ユーザには全く理解不能だ。 このタスクは私が仕様作りの責任者だから、ちゃんとインターフェース仕様書 書いておかなかった私の責任なのだけれど。ワークフロー仕様はちゃんと 渡したし、それに沿って考えればこうはならないと思うのだけれどなあ。 彼を責めることは出来ないのだけれど、やっぱり怒りモード入ってしまうなあ。 本気でこのコード使えると思っているのかなあ。思っているんだろうなあ。 何故これが使えないのか説明して書き直してもらうのと、自分で書き直すのと、 どっちが速いのだろう。

「こんなことくらい言わなくても分かるだろう」ってのは コミュニケーションの努力を怠って単に相手に甘えているだけなのだが。 やっぱり時には甘えたくもなる。


世間では母の日らしいので、久々に東京の実家に電話する。 こちらから電話するのは2〜3ヵ月に一回、向こうからかけて来るのは 親戚が亡くなったとかいう場合のみ。 なんかコミュニケーションの少ない家族である。 せっかく息子がリゾート地に住んでいるのだから、旅行に来たらと誘っても、 「パスポートを取るのが面倒くさい」などとのたまわって来ようとしない。 かと言って仲が悪いのかと言えばそんなことは全然なく、 たまに帰るとやれ食事だ映画だ宴会だと結構家族で過ごすのだ。 但しそれも、全員でちゃんと時間を合わせて計画を立てたらの話。 普通に暮らしていると、生活時間帯が全くばらばらのため、 同じ家に寝起きしながらほとんど顔を合わせないことになる。 要するに普段は皆好き勝手に自分の人生を楽しんでいるということのようだ。

両親も忙しいが、妹はそれに輪をかけて忙しい。 妹は私と物事に関する好みや価値観が似ているので仲の良い兄妹だったが、 高校くらいからお互い好き勝手な道に進みはじめたのであまり話はしなくなった。 今では、妹の作品の掲載誌を送ってもらい、私が感想を書いて送る、 というのがほとんど唯一のコミュニケーションである。 それでも通じる、というのは、血のつながりか、共に過ごした時間の長さか。

いや、血は関係ないかも。高校時代の親友とか、 年1〜2回のコミュニケーションでも通じるし。 逆に言うと、私にとって家族とは親友のような関係であるのかもしれない。

5/8(Fri) Deep Impact

世紀末だからだろう。立て続けに2本、「空から星が降って来て人類滅亡の危機」 映画が公開される。今日はその一本目、DreamWorksの "Deep Impact" を 観て来た。同僚2人とWaikikiに観に行ったのだが、 映画館に着いてみたら会社の連中がたくさん来ていた。 結局みんなこういうの好きなのね。

正直言って、期待していなかった。まあMorgan Freemanの米大統領は 観る価値あるかな、くらい。でもその期待を良い方向に裏切ってくれたかな、 と思う。

新彗星が発見された。大きさはニューヨークくらい。 軌道を計算すると一年後に地球に衝突する。おそらく地球上の生物は絶滅するだろう。 彗星を爆破するためのミッションが発動される。同時に、ごく限られた人々と 動植物を2年間収容するためのシェルター、現代版ノアの方船が建設される。 まあここまではありがちな設定。

これをどう料理するかだが、ストーリーもありがちの範囲を出てはいない。 グローバルな設定もちょっと首をかしげたくなるところもある。 ところが、それにもかかわらず、個々のシーンはなかなか説得力があるのだ。 ほんとにパニック物の王道を行ってるんだけど、観ていてぐっと来てしまう。 けっこう力技かもしれない。でもここまで演出で押してくれると、 観ている方も気持良かったりする。押し方が誠実だし。

VFXについても、予告編を観て大したことないなと思っていたのだが、 予告編では悪い部分しか見せてなかったのだね。結構本編では良いところがある。

5/7(Thu)

先週はかなり暑くてハワイらしい天気だったんだけど、 今週は曇りがち。短パンではちょっと涼しいくらい。 これが普通なのかなあ。それとも異常気象? ちなみにうちの会社はエアコンがタコで、 場所によってはコートを着て仕事している人がいる。 なんか変。

5/6(Wed)

知らない間に会社の対外サーバの構成が変更されて、昔作った VRMLのデモプログラム "The Dungeon of VRML" がアクセス不可になってしまった ようだ。というのをメイルで知る。 まあ、VRMLなんてもう目新しくないんでいいかなあ。 SGIの人がデモに使ってたと思うけど、どうなったんだろう。

こないだ決定した仕様を関係各位に説明して回っているのだが、 全貌を一気に伝えるのはなかなか難しい。ローカルに見た情報の流れ というのはたいした量ではないのだが、それが何故そうなっているかを 説明するにはグローバルな流れを説明しなければならず、 それを理解してもらうにはプロダクションの全過程にわたってある程度細かい 知識を説明しないとならない。 しかも現場からはいろいろなケースでの瑣末だが無視できない事項が 上がって来るし、なんだかマッチ棒で高さ2mの東京タワーを作っているような 状況になってきた。一度全てが構築されれば、何でこんなことにあんなに 苦労したんだってことになるんだろうなあ。

5/5(Tue) 独り暮らしの悩み

しまった。またやってしまった。

大きなどんぶりに山盛りのカニチャーハンを眺めつつ、私は途方に暮れていた。
ほんの、茶碗一杯の冷やご飯を始末するだけのはずだったのに...
最近野菜が不足気味だからちょっぴり贅沢に野菜を使おうとしただけなのに...

独り暮らしで、しかも外食の多い生活をしていると、一度使い損ねた野菜などを だめにしてしまうことがよくある。だから普段は少品種を一気に使うことで なるべく野菜を保存しないようにしている。例えばホウレンソウを買って来たら まるごとおひたしにしてしまう、といった具合だ。 とは言っても、 現在のアパートメントからだとスーパーに行くのに車が必要なこともあり、 買いに行くのが億劫だったりすると野菜を摂る機会を逃しがちだ。

そして、今日の私はビタミンに飢えていた。野菜、野菜、野菜を求めて スーパーをうろつく。おお、赤蕪のなんとみずみずしくうまそうに見えることよ。 ああ、あの葱にかぶりつきたい。 ごっそり買い込んで来て、腹が減った勢いで一気に調理してしまったのだ。
玉葱を半分残すなんてしみったれたことをやってられるかー!。
細葱もいちわまるまる放り込めー!。
カニ缶もめんどくさい、一缶全部使い切れー!
キャベツは... さすがに思い止まって1/3くらいにしておいたが。 そんな調子でできあがったのが、米より野菜の方が多いようなよくわからない 料理であったのだ。 ちなみに赤蕪は野菜を炒めている間に生で全部食べてしまった。

さて、チャーハンである。 自分は味にうるさい方ではないので、まあ食べられる、が、根気の勝負だ。 食べられる味であっても、それが延々と続くとなると話は別。 ちなみに料理はそれ一品のみ。 かつての駒場の東大楼のチャーハン大盛り¥380 (食べても食べても減らない) を 思い出しつつ、なんとか片付けた。 終ってみれば満足満足。げふ。

そういえば、かつて親父が若くして東京に出て来た頃。3畳間の下宿を二人で 借りる程に切り詰めた生活費では、腹いっぱい食べることがなかなかままならない。 どうしても我慢できなくなると、予算を全て米につぎこみ、釜一杯の飯を 醤油だけで食べて幸せを噛みしめたという。 作りすぎて不平を言ったら罰があたるのう。

5/3(Sun)

しまったあ。チャンスだったのに。 準備が出来てないときちんと話せないというのは、 覚悟のある生活を送っていない証拠だ。 本当の俺はこんなんじゃないんだ、って思いたいけど、 一瞬一瞬の、一挙手一投足が本当の自分の現出だろう>俺。

5/2(Sat) Les Miserables

やっぱ良いっす。Claire Danes。昨日公開の "Les Miserables" である。 IMDb で調べたらもう20回位映画化されているようなのだが、これまでのを 観たことはないので比較はできない。 だが、原作は大好きで岩波版と新潮版と両方読んでたし、 ミュージカルにも大感激したので、 果たしてどう映画にしたのか大いに気になっていたのだった。 また気になる配役なのだ。 ジャンバルジャンを演ずるのは「シンドラーのリスト」主演のLiam Neeson. 対するジャベールは「Shine」のピアニストDavid Helfgottを演じたGeoffrey Rush. フォンテーヌにUma Thurman、そしてコゼットにClaire Danes。

原作は、読んだ方はご存知だと思うが、極めて長大な物語である。 多くの登場人物それぞれについて人生が描き込まれ、 しかもそれぞれの運命という不思議な縁により、思わぬところで絡まり合い 展開してゆく。だがユーゴーの目は個々の人間のドラマだけにあるのではない。 時に物語から脱線して詳細に描かれる当時の社会、町並み、名も無き人々の生活、 そして革命。これらの描写が原作に (物語の上でも、物理的にも) 厚みを与えている。 しかし、2時間から3時間でそれを語るのは不可能だ。 だとすれば、何か軸を決めて、それを元にした切り口を見せざるを得ない。 ミュージカル版は、舞台の特性を見事に活かした群像劇に仕上っていた。

さて、映画である。Bille Augustは、 ジャンバルジャンとジャベールの対決に焦点を当てたようだ。 多くのイベントをばっさり切るかわりに、残ったイベントについて ひとつひとつ丁寧に作っていった。原作でしつこいくらいに絡んで来る テナルディエなどは、ほんの1シーンしか出て来ない。そのかわり そのシーンでのバルジャンとテナルディエの対決は見ごたえのあるものに 仕上っている。チェコでロケした、当時のフランスの情景も良い。

ただ、話を絞り込んだ代償は支払わねばならなかったようだ。 虐げられ、革命に至るまで追い詰められている民衆というのが 描き切れていない。職も無く、腹を減らして慈善の粥に群がって来る人々が あまり切実に見えないのである。登場人物もしばしば類型的に描かれすぎて いるようにも見える。また、全体的にトーンが明るすぎるような気がした。 バルジャンとジャベールの対決が静かなため、 他を暗くするのが辛かったのかもしれないが、 平版な印象になってしまっているようだ。 あ、ちなみにエポニーヌの話は全く出て来ない。 ミュージカルでは彼女の"On My Own" に涙したものだが。

しかし、しかしである。もしそれだけなら、 まあ出来の良い佳作ということになっていたかもしれない。 だが全体をバルジャンの贖罪という観点から眺めると、 違ったものが見えて来る。

映画の間中、バルジャンは物静かだが確固として、 英雄的行為を次々と行い、だが目に悲しみをたたえた笑わない男として描かれる。 観客は興味をそそられるはずだ。一体何が彼をこのような行動に かりたてているのか。 その答えが、(原作のラストとは異なる)ラストシーンであきらかになる。

正直に言って、原作やミュージカルのファンには食い足りないかと思うが、 ラストシーンを観たときに、ああ、こういうのもあるのか、と納得した。 考える材料としてお勧めである。

5/1(Fri) The Big Hit

3日続けて朝10時からミーティングがあったので、9時半頃に出社していた。 なんだか一日が長くて特した気分になるなあ。

昨日も書いたけど、 Kingのコーナーは投稿受付中。 以前頂いたメイルの掲載許可でも良いです。と書いて宣伝。

金曜の夜なので映画。だけどあんまり今週はおもしろそうなのがない。 個人的には、Claire Danesを見に "Les Miserables" に行こうかと思ったのだが 友人が難色を示し、アクションらしき"The Big Hit"にする。 しかし、ところどころに笑える演出はあるものの、特筆すべきところの無い映画。 日本人が誘拐されるのだけれど、演じているのが中国系アメリカンと 日系アメリカンで、日本語の発音がむちゃくちゃだ。

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Shiro Kawai
shiro@lava.net