1997年10月

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10/31(Fri) Masquerade

本日はHalloween。「お盆」の西洋版なのだが、 私の中では皆で仮装して馬鹿騒ぎする日として認知されている。 メインイベントはもちろんSquare USA恒例のCostume Contestだ。

昨年ので味をしめた私は、 今年はmake upで勝負をかけることにする。 テーマはクラウン。一度やってみたかった、ということで。 メークだけで1時間以上かけた力作である。 写真は現像があがったら掲載しましょう (誰もデジカメなんぞという物を持っていなかったのであった)。 しかし重大な誤算が。誰も私を私だとrecognizeできないのだ。 そりゃそうか。顔全面ベタ塗りでかつらもかぶってたら解れというほうが無理。

なんだかんだで午前中は他人の仮装を観て笑うことに費やされ、 仕事にならない。 うちのディビジョンのマネージャが、むちゃくちゃCuteな恰好をして、 "Stupendas Manだぞ。Stupendas Powerでバグを退治だ。びゅーん" と マントを翻して飛んで行ったのに死ぬ程笑わせられる。 (なんかそういうcartoonがあるらしい)。 こんなことをしてるからまた休日出勤になるのだ。

調子にのって、昼飯にAla Moana Shopping Centerへクラウンの格好のまま 繰り出し子供に受けまくる。 「わークラウンだー」と寄って来るのだがこっちが微笑むとはにかんで 親のうしろに隠れる。かっかわいい。せっかくだから風船でもたくさん 用意しとけばよかった。

夜は同僚宅でパーティの後、皆で踊りに繰り出す。 ほとんど全員仮装しているのでもうめちゃくちゃである。 入口で例によってIDをチェックされるのだが、 この化粧では分かるまい。事実上ノーチェックである。 ちなみに私は体型を太らせるためにバスタオルを腹に巻いていて、 そのまま踊ると発汗効果抜群。ダイエットにお勧めだ。

やっぱ快感だなあ。白塗りしてワイキキでパントマイムでも始めようかしらん。

あ、ちなみにContestの結果は3位入賞。商品は映画館のフリーチケット5枚。 ほっほほほ。メイク用具分くらいの元は取ったぜ。

10/30(Thu) 友有り遠方より来る

LAでしばらく一緒に仕事をした後、 独立して自分の会社を作った台湾出身のLがやって来た。 奴とはなんとなく気が合って、よくつるんで遊びに行ったものだ。 もっとも今回彼は遊びにきたわけではなく、ビジネスでの訪問である。 また一緒に仕事が出来そうだ。

好奇心のかたまりのような奴で、自分の専門分野以外のことでも 気にかかるととにかく自分が納得するまで質問攻めにしてくる。 私は細部が曖昧でも全体像がなんとなく見えればよしとしてしまう たちなので、奴の質問攻めでよく自分の知識の粗さを確認させられたものだ。 "All right. I can't explain it exactly now, but I'm going to survey and I'm sure I'll make it clear tomorrow." と何度言わされたことか。

もともとLはうちの会社のHonolulu officeに来るつもりだった。 しかし彼の経験と実力をかったある投資家が投資を申し出たのだ。 LAで自分の会社を起こすのは、Honoluluでサラリーマンをやるより はるかにexcitingで、しかし同時にriskyでもある。Lはだいぶ長いこと考えていた。 かつて独立を試みたことがある私は、戦力的に彼を失うのは痛いとわかっていても 独立の方を勧めていた。

Lも含めた何人かでLas Vegasへ遊びに行ったのはそんな時である。 ま、おきまりの、それぞれ趣向を凝らしたカジノをうろうろして来たのだが、 ショーは私のたっての希望で、"Cirque du Soleil" の "Mystere" を観たのだった。 "Cirque du Soleil" は日本公演も行なっているので 日本でご存知の方もおられるだろう。私は昨年秋、Santa Monica Pier での彼らの新作 "Quidam" を観てから虜になっていたのだ。

技術の高さもさることながら、 文字通り全身全霊をかけてのパフォーマンスに激しく心を動かされたのである。 自分の生きる道にコミットしている彼らが舞台上でどんなに輝いていることか。 彼らは歌う。「墜ちるか、登れるか、夢と恐れが拮抗する瞬間。 私の中の勇気を待つ。墜ちるのが運命なら墜ちてもよい。 このただ一つのチャンスを、完璧な瞬間を、逃す理由などない」と。

Lから独立を決意したと聞いたのは、Las Vegasから帰った翌日であった。 無論さまざまな要素を考慮しての決断だろう。しかし私はどうしても聞かずには いられなかった。「あの舞台を観たことが影響したのかい?」 彼は小さく微笑んで答えた。「まあね。ああいうふうな生き方をしてみるのも 面白いかなとおもってさ」 一夜の舞台が、一人の人間の人生を変えることもあるのだ。

結局彼は会社を設立し、しかし巡りめぐってビジネスパートナーとして Honoluluに移って来ることになった。自分の会社と、ハワイでの暮らしと、 両方を手にいれることになったのである。 もちろんこの先どうなるかはわからない。社員2人と彼の会社はまだ前途多難だ。 結局、苦労した挙げ句、一夜の夢のように後に何も残らないはめになることだって 有り得る。それでも、人生の一時期、 一つのことにコミットして生きていたと言えるなら、 それは何物にも替えがたい財産なのではないだろうか。

10/29(Wed) ダラーコインの行方

USで良く使うコインは1¢(ペニー)、5¢(ニッケル)、10¢(ダイム)、 25¢(クオーター)。ペニーは自動販売機で使えないことが多いので、 慣れないうちはお釣りでもらうばかりでどんどん増えて行く。 日常生活ではクオーターの上の単位は1$札である。

実は50¢コイン、1$コインというのもあるのだが、 どちらも滅多に使われない。(カナダだと2$もあるね。USにはあるのだろうか)。 店で買物をしても、お釣りは1$単位なら紙幣、それ以下の場合は 上記4種のコインの組合せである。 実際、50¢コインは話に聞くだけで未だに見たことがない。

しかし、1$コインに関しては確実に手にいれる方法がある。 郵便局の切手自動販売機である。こいつはお釣りをダラーコインで返して来るのだ。 ダラーコインはクオーターよりひとまわり大きく、日本の500円玉くらいだろうか。 重いし大きいし、こいつがざらざらあるとうっとうしくて仕方ない。 しかもほとんどの自動販売機は、 1$札は受け付けるくせに1$コインは受け付けないのだ。 よって私は1$コインは買物の時にさっさと使ってしまうようにしている。

もちろん店の人も1$コインは目にしたことがあるので間違われることは ないが、それでも "Wow" と言われる程度には珍しいもののようである。 今日も使ったら、 "Wow, you must have been to Las Vegas!" と言われた。 決してお釣りで返さないところをみると、必ず銀行に持って行くように しているのであろう。そしてそれが郵便局の自販機に回って来るというわけだ。

ほとんど使わないのなら全部紙幣に移行してしまえばよさそうなものだが、 アメリカ人はあまりそういうことは考えないらしい。 日本で500円玉の登場とともに500円札があっというまに姿を消したのとは 対象的である。 そういえば紙幣でも、滅多に目にしない2$紙幣なんてのが存在したりする。 (あと$100より上の高額紙幣もほとんど目にしない。そもそも旅行者以外で $50以上の紙幣を持っている人を見たことがないぞ)。 滅多に使わない貨幣単位を、それでも作り続ける不思議さ。 USってけっこう不合理なところである。

10/28(Tue) 悪夢?

ひっさびさに悪夢を見た。って言ってもホラー系の夢ではなく、 重たい系の、起きたあとどーっと疲れたーというやつである。 プレッシャー感じてるのかな最近。自覚はないけど。

夢の中で私は演出をやっている。 スケジュールが押しに押してまだ何も出来ていない状態なのに、 初日が来てしまったってやつ。制作だけはがんばっていたようで やけに客の入りがいいのだが、芝居はしょっぱなから悲惨な状態。 「どんなに時間が無くてもきっかけ稽古ぐらいやるべきだろ」 と呪いながら、本番中にも裏を走り回って がたがたのスタッフワークを何とかしようとするのだが、

どんどん客が帰ってゆくのだ。

怖いぞこれは。 大概はこうして焦っているところで目が覚めるのだが、 今朝は全員客が帰ってしまっても目が覚めない。 誰もいない客席を前に虚しく公演が終り、 私は演出としてどうやってフォローしようかと必死に頭を絞りつつ 全員を集合させる。役者の何人かは絶望してとんずらしてしまったらしい。 実はこの頃には既に夢であることに気付いていて、 「超越者 (夢を見ている主体ね)」の権限で 「実は初日は明日だった」ということにしてしまえないかとも考えている。

と、夢の中の芝居で役者をやっていた、 昔の仲間Oが「ふっ」と煙草の煙を吐いて、「まあ、こういうこともあるさね」。 (彼はサラリーマンを辞めてシナリオを書いていたはずだが 今はどうしているだろう。) うん、失敗することもあるさ。それは受け入れなくちゃならない。辛いけど。 でも受け入れると力が湧いて来る。そこで目が覚めた。

そんな夢を見たというのに、根本的に頭が気楽に出来ているらしい。 会社の受付嬢に「Shiroっていつもにこにこしてるのね」と言われる。 「いつもHappyなのさ」と答えておいた。そんなにいつもにこにこしてるかな。 確かに不機嫌な時っていうのは珍しいけど。

10/27(Mon)

Halloweenが近付いて来た。街にはかぼちゃが溢れている。 今年のコスチュームの準備をまだしていない。 明日の昼あたりに買いだしに行かねば。

うちの会社 (USAの方ね) では、毎年 (って言ってもこれが2年目だが) Halloweenの日にはコスチュームコンテストがあるんである。 昨年は直前になってそのことを知り、こんなことなら東京の昔いた 劇団の倉庫からなんか変な衣装を送ってもらえばよかったと歯噛みしつつ ありあわせでなんとかしたのだが、今年も直前まですっかり忘れていた。 全然学習してない。

昨年は仮装したまま一日仕事をしたのだが、 日本の本社からの来客があったりしてなかなか楽しかった。 自分の研究を説明したりして、 「東京に行くこともあるでしょうからよろしく」と言ったら 「君そんな恰好じゃ次に会った時わからないよ」。 そういえば今週金曜にLAのプロダクション会社から来客があるんだった。 仮装したまま昼食会とかってなったらちょっとまずいかなあ。 ま、よく知った奴だからいいか。

このノリ、決してアメリカ全てがそうだとは思わないが、 LAのプロダクション関係のHalloween Partyなんかは無茶苦茶である。 そのために毎年Hollywoodの衣装屋で仮装衣装を新調する人とかもいる。 流石にそういう衣装はパーティー用で、会社に着て来ることはないのだが。

ちなみに昨年のHalloweenの時のうちの会社がどんなだったか、 好奇心を押えられない人は このへんでもどうぞ。重いですよ

10/26(Sun) Gattaca

昼前からピアノを弾きはじめ、気がつくと日が暮れていた。 隣近所からは変人だと思われているに違いない。 まだガードマンを呼ぶには至っていないようだが (昨日の日記参照)。 オフィスに寄って仕事の続きをするも、金曜に観損ねた映画を 観たいのでさっさと切り上げる。

本日の映画 "Gattaca"。近未来、遺伝子工学の発展により 人は生まれた瞬間に、いや生まれる前から、どんな資質を持ち 将来どんな職業に就けどのくらいまで生きられるかが決定される社会。 その流れに抗った二人の男がいた。素晴らしい遺伝子を持ちながら 不慮の事故で宇宙航空士への望みを断たれた男と、 宇宙への夢を人一倍持ちながら遺伝子的に劣っているため希望のない男。 その二人が出会った時、不可能への挑戦が始まった...っていう話。

物語の前半をナレーションで説明してしまうという恐ろしい構成ながら、 なかなか見せてくれる。いくらでも物語がふくらませられる設定なので、 みせどころを絞らざるを得なかったのだろう。 原作、監督のAndrew Niccolはimdbで見る限りこれが初監督作品。 ちょっと画が綺麗すぎてリアリティという面では物足りないが シーンシーンでの役者の芝居をうまくみせる。 二人の男の複雑な関係を演じるEthan HawkeとJude Lawがかなり良い。 表情がたまらん。Michael Nymanの音楽がこれまた良いっす。

"ATGC" の文字 (DNAの情報を担う4つの塩基の頭文字) にこだわっていて 、 タイトルバックとかエンドクレジットで人の名前の中の "ATGC" の文字を 強調してるんだけど、 "ATGC" の文字が含まれてない人はどうするんだろうと思って見てたら、 意外とどの人にも含まれているんだね。役者は全員OKだし、 スタッフの中にも4文字とも含まれていない人は3人くらいしかいなかった。

10/25(Sat) こだわり

一晩ゆっくり寝たら首はだいぶん回るようになった。

昨日から暑さがぶり返している。 窓を開けて車を走らせていると熱風が吹き込んでくるのだ。 8月に比べればずいぶん過ごしやすいとはいうものの、 やはりビーチに飛んで行きたい気分である。 しかししかししかししかし。仕事がそれを許してくれないのであった。 このぶんじゃ明日も出なくちゃ。

現在、自宅のPCは東芝のサブノートにLinuxを載せて全てを済ませているが、 ぼちぼちWindowsからも逃げてばかりいられなくなったようなので PC購入を決意する。幸い同僚にむちゃくちゃ詳しいのがいて、 丁度PCをアップグレードするところだったので パーツのおこぼれを安価に譲り受けて組み立てることにする。 今日昼時に、ホノルルに数少ないコンピュータ屋を案内してもらった。 詳しい彼がいろいろ説明してくれるのだが こっちは普段使うソフトがストレス無しに動けば何だって良いのだ。

しかし電子工学で博士取ったっていうのに、Pentium IIがどうとかMMXが どうとか、グラフィックボードはMilleniumだのMystiqueだの 言われてもさっぱりわからん。 いや、MMXの中身がどうなっていてどういう仕組みで動いているかはわかるんである。 けれど現在市販のソフトがどう対応していて、 実際にどのくらいの恩恵があるのかとか、そういうことがわからん。 昔はずいぶんこだわっていたのだけれど、今はもはや 車にせよオーディオにせよ「動けばいいじゃん」状態である。 むしろなまじ中身を知っているので、多少遅くても不都合があっても 「ああ、一生懸命バスを調停しているんだな」とかついつい機械に同情してしまって 気にならないことが多いのである。 自分でハードウェア作ると (ボードの設計からね) 動いただけでもものすごく感動するから。 むしろ先日書いたように、 ソフトウェアの設計の良し悪しにむやみにこだわったりする。 (そういう意味ではWindowsは何としても避けたかったのだが... いや、まず敵を知ることが肝心。って、戦っているのか?!)

次第にこだわりが「形あるもの」から「形のないもの」に移ってきたのは 何故だろう。芝居とかの影響が強いような気もする。

最後に物にこだわったのは、今のピアノを買った時かもしれない。 そんなに有名でないメーカのだけど、中古で買った木目仕上げのグランド。 ロス行きが決まった時からピアノを買うことは決めていた。 正気を保つために是非必要だし、 実家のピアノは「置いてけ」と釘を指されたから。

ショップにあるピアノを片っ端から弾いていった。 最初はアップライトを買うつもりだったんだけど、 このピアノに触ったらどうしても欲しくなった。 値段を聞いて悩むが、粘ってまけさせたうえ、 あーだこーだ注文をつけて調整してもらった。 販売もやっている調律師さんに名前を名乗ったら、 "Oh Kawai! 俺は昔Kawai Pianoに17年も勤めていたことがあるんだ!" といきなり親切になり、"このピアノが気に入ったか。 よし、俺の腕にかけて、隣のYAMAHA (倍の値段) より良く鳴るようにしてやろう"。 結局、YAMAHAよりいいかどうかは知らないが、私にとって実にいい具合に してもらった。名門メーカの高いやつとは比べるべくもないけど、 軽くひくとしっとり、強く弾くと派手な音色が好みにぴったりなのである。 Kawai Pianoと私は全然関係ないんだけどね... (漢字が違う)。

ロスで、引っ越して間もない、家具が何にもないアパートにピアノが届いて、 うれしくて蓋を全開にして弾いていたらかなり近所迷惑だったらしい。 早速ガードマンがやってきて「もう少しvolumeを下げてくれ」と言われた。 でもそのアパートを引き払う時に、向かいの住人から「もうあのピアノが 聞けなくなるの、残念ねえ」と言われてちょっと嬉しくなる。 しかし、「いや、迷惑じゃなかったですか」と尋ねると、 「犬にわんわん鳴かれるよりよっぽどいいわ」 (当時、同じフロアにやたら 鳴く犬を飼っている家があった) と言われ、がっくし。

ところで、最近あちこちで見かけるようになった 日記猿人 なるものに登録してみる。 目立ちたがりやですんで。 世の中、いろんなこだわりを持ってる人がいておもしろい。 なんか得票集計とかもできるみたいだけど面倒くさそうだからパス。 しかし、これだけのデータベースをきちんと運営するというのは大したものである。

10/24(Fri) 首が回らん/新スタジオ

借金ではなく文字通りの意味で。左に捻るとずきんとする。

今朝のホッケーで派手に衝突をやらかしたのだ。 よくあることだし、その場では全く平気だと思っていたのだが 実はどこか筋を捻っていたようだ。 2時間くらいしてからじわりじわりと効いて来た。

左に動かさなければ何ともないのだが、 おそらく無意識のうちに力が入ってしまうのだろう。 ディスプレイを見る角度も微妙にずれるのだろうか、 肩は凝る、眼は疲れる、頭は痛くなる。 人間の身体というのが普段いかに絶妙なバランスで動いているかがよくわかる。 とりあえず頭が痛いので金曜日だが映画はパス。でも日記は書く:-)

話変わって、 午前中、新しくモーションキャプチャのために会社が借りたスタジオを見に行く。 ダイアモンドヘッドの北側にあるスタジオは本来は映画撮影用で、 最近だとDisneyの "George of the Jungle" の撮影などに使われた。 でかいし作りもしっかりしている。そして安い。 一月分のrentがおそらく日本だったら3日でそのくらいとられるぞという金額。

スタジオとかホールとかに行くと、むやみに興奮してしまう。 何もセットが組まれていない状態ではただのがらんどうな空間。 むきだしの電灯や空調設備。ぱっと見では殺風景の極みなのに。 でもだだっ広いその空間の真中に立って少しほこりっぽい空気を吸い込むと、 鮮やかに感じることが出来るのだ。 仕込みの日の喧騒。腰道具を下げたスタッフ達が雪崩のように搬入される 大道具類を手際良く組み立ててゆく。舞台監督 (映画だと何だ、 セットディレクターとかになるのかな) が時おり鋭い指示を飛ばす。 低い、しかし太い声で答える職人達。 汗がリノリウムの床にぽとりと落ちる。しかしその跡はすぐに 荒っぽく移動する作業靴に踏み消される。 蛍光灯のもとでは何かしらじらしく見えるセットが、 ホール灯が落され、プロによって仕込まれた照明に灯が入った途端、 突如として全く別の空間に生まれ変わる。

役者が立ち、演技をはじめる。 本来この世に存在しない筈の何かがその時立ち現れる。 その「何か」はその場限りのもの。確かに存在するのに、 それを保存したり持ち出すことはできない。 カメラでさえ、その「何か」のほんの一面をとらえることが出来るに過ぎない。

役目を終えたセットは驚く程あっけなくばらされる。 数時間後にはそこに何かがあったことさえ信じられない、 もとのがらんとした空間が残る。 膨大な時間と手間を費やして、後に何も残らないものを作ることに、 人は驚く程夢中になれるのだ。

10/23(Thu) Beauty(続き)

14時間を費やし、仕事で使ってる某社のソフトウェアの 「私が生理的に拒否してしまう設計」の部分を美しく改造することに成功。 心の平和は保たれた (昨日の日記参照)。 しかしこれ、相手がソフトウェアだからいいものの、 相手が生物だったり、あまつさえ人間だったりしたら完全に マッドサイエンティストの世界である。 プログラマになっておいてよかった。

美しさ、にはいろいろレベルがあるように思える。 こんな研究がある。たくさんの人間の顔を撮ってきて、口の大きさだとか 目の間隔だとかのパラメータを抽出し、どんどん平均してゆく。 そうして出来た「平均顔」はなかなかの美形になるのだ。 男の顔だけで平均をとれば男前になるし、 女の顔だけで平均を取れば美人になる。 ただ、とびきりの美人になるには、何かが物足りない。 平均よりすこしずれたところに、その良さがあるのだ、という。

この話を研究会で聞いて来て、なるほどと思って友人に話したら、 一言「平均顔って、要するに『整った顔』になるだけでしょ」。 確かにそのとおり。 均整がとれていることを、我々は美しいという。 でも、心底から感動するような美しさというのは、 確かにそれとは別のところにある。

10/22(Wed) Beauty

「美しい」という感覚はどこから来るのだろう。 およそありとあらゆる物事に関して「美しさの度合」というのが なんとなく判断できるし、多少の揺らぎがあるにせよ 時代、地域差を越えて多くの人が同意する「美しい絵画」「美しい音楽」 というものがある。社会的に規定される美しさってのもありそうだけど、 例えば大自然の美しさに打たれる、みたいなものは なんかもっと根源的な感覚であるような気がする。 で、人間を根本で動かしているものは案外このあやふやな「美学」 だったりするように思える。

これ以上進むと哲学論議になってくるのでこのへんでやめとくが、 こんなことをつらつら書いたわけは、 コンピュータプログラムとかシステム設計にも美しさってのがあって、 美しくないと自分で思うものを作っていると結構生理的にくるものがあるんである。 別に「俺の美学はこれだ」なんて気取るつもりはなく、 本当に気持ち悪くなってくるのだからいかんともしがたい。 現実には使用可能な資源と自分の理想と見比べて、 どこかに妥協点を見出さないとモノが出来てこないのだが。

Stephen Kingが 何かのインタビューでなぜ小説を書くのか聞かれ、 「書かないと死んでしまうから書くのだ」というように答えていた。 (「死んでしまう」ではなく「狂ってしまう」だったかも)。 凄くよくわかる。 他人がなんと言おうと自分の「美しさ」の感覚に合致するものを 作り続けてないと、私は狂ってしまうだろうと思うのだ。 (既に狂っているという噂もある :-) この日記からでは想像し難いだろうが)。 作り続けることができる境遇にあることを喜ぼう。

10/21(Tue) Kiss the Girls

仕事が一段落して時計を見ると21:00。 夕食を取って映画を観るのにちょうど良い時刻。

...というわけで観て来ました "Kiss the Girls"。 Morgan Freemanがpsychoを追い詰めてく話だけど、 こっこっこれは... 怖い。すんごく怖い。 何でだろう、話は読めるんだけど、もう映像に有無を言わさぬ迫力がある。 カメラワークとつなぎ方なのかな。わしっと心臓を掴まれる感じ。 あと、ノースカロライナの森。 いかにも迷い込んだら出れなくなりそうなおそろしげな感じがよい。

Ashley Juddは髪を下ろすといきなり綺麗になる。imdbを見ると "A Time to Kill" にも出てたそうだけど覚えてないなあ。

10/20(Mon) ハワイに住むことのハンディキャップ

また仕事の話だけど、ついさっきこのテーマで同僚と長々と喋って来たので。

メディアの生産者としての立場からすると、 ハワイという土地はロスアンゼルスや東京に比べて格段に不利である。 例えばロスに住んでいてCG業界関連で仕事をしていれば、 週末のパーティだの業界の研究会だの あるいは友達の友達と食事をともにするだのしているうちに、 多くのCGプロダクションに知り合いが出来るし、情報も自動的に伝わってくる。 それに比べれば、ハワイは隔絶された土地なんである。 両方に住んでみるとその違いがはっきりわかる。

ロスでは人間の移動も盛んだ。そういう風に業界横断的に人脈ができるし、 プロジェクト単位での契約も多い。 引き抜いたり引き抜かれたりも日常茶飯事である。 DreamWorksで3年契約にサインしろと言われて、 「縛られるのはいやだ」と辞めて自分の会社を作っちゃった友人もいる。 個人の資質を最大限に活かせる時と場所、というのを企業も個人も探し求めている。 うまく巡り合えるかどうかには運も関係するのだが。

ハワイではそういう地の利は得られない。 だが純粋に創作活動にうちこむ場合、ハワイの自然はプラスに作用する。 創造に必要な生活のなかのヨロコビ、というのはこの島では得やすい。 ネットワークを最大限に活用して、いかに生活を楽しみつつ 情報を得続けるかというのが重要であろう。

人材の移動の多いUSでは、ある会社にいた3年なら3年の間に どういう技能を身につけ、どういう結果を残したかというのが非常に重要である。 逆に言えばアウトプットさえしっかり出していればどこにいようとOKだという ことでもある。 今日の小さな一歩は10年後に効果を発揮するかもしれん。よく遊び、よく働こうっと。

10/19(Sun) ちょっとだけ業界の話 (今日の話は硬いかも)

本日も休日出勤。 キッチンで同じ境遇の人々と顔を会わせ苦笑い。

ゲーム業界とか映像プロダクション業界って、 憧れで見る人もいれば、こんなとこ来るもんじゃないという人もいる。 自分はずっとソフトウェア業界にいたんで他はわからないけど、 どんな職種でも苦労もあれば楽しいこともあるんじゃなかろうか。 うちの家族は父親:議員、母親:公務員、妹:漫画家だけど、 端から見てるとどれもハードな仕事。自分にはとても真似出来ないっす。

とは言っても世間一般の基準からすると、 プロダクションの仕事はハードかも。一日18時間労働、 3ヵ月休み無し、とかいうとまるで奴隷のような。 昔TV局にいた頃、新婚なのに2週間家に帰ってないとかいう人もいたな。 〆切後の休暇がなければやってらんない業界、とは言えるかも。 (ちなみにうちは裁量労働制なのでどんだけ働いても残業手当は出ない。 そのかわり仕事が無ければ5分で帰っても同じ給料なのだけど)

以前LAで同僚と仕事の仕方について議論したことがある。 ちょうど〆切前で、自分は朝11時に出勤して朝6時に帰宅するという 生活を続けていた。 同僚はそこまではやらず、「そんなに働いたら健康に悪い」と言う。 自分の心情としては満足ゆく物が出来なかったらmental healthに悪いので、 仕事の出来の方を優先させたい。 人それぞれのスタイルを選べば良いと思うし、 個人がcontribute出来る範囲でやればいいと思う。 過労死は既に英語にもなっているが、疲労は労働時間ではなく むしろ労働から受けるストレスによって測られるべきではなかろうか。

芝居をやっていた頃、 素人なりによく議論した。 役者をやろうと思ったら24時間役者でなければならない、とか。 芸術家と呼ばれる人々はこの範疇に入るだろう。 でも、24時間役者である人を労働の奴隷になっているとは普通思わないであろう。 役者という職業は特別だ、として議論を避けるやりかたは好まない。 どんな職業も特別であってほしい、言い替えればどんな職業も芸術であって ほしい、というのは理想論だろうか。 というか、楽しんで出来ればいいってだけだけど。

「娯楽というものは生活を楽しむことを知らなくなった人間がその代わりに 考え出したものである。それは幸福に対する近代的な代用品である。 幸福についてほんとに考えることを知らない近代人は娯楽について考える。 ... 生活と娯楽とが人格的統一にもたらされることが必要である。 ... 娯楽が芸術になり、生活が芸術にならなけばならない。生活の技術は 生活の芸術でなければならぬ。」 (三木清「娯楽について」)

10/18(Sat) 冷蔵庫

今のアパートメントには大きな作りつけの冷蔵庫がある。 高さ180cm、幅70cmというところだろうか。私のような独身者には 決して使い切れない容積である。冷凍庫は下についていて、 引出し式になっている。

さてこの冷蔵庫、時々変な音をたてる。かたかたかしゃん。かたかたかしゃん。 コンプレッサーのうなりとは全く違うこの音、 気にはなっていたが、今まで何の音だかわからなかった。

今日、冷凍してあるシューマイでも使おうと思って冷凍庫を 引っ張ると何かがつっかえていて少ししか開かない。おかしい。中に入っているのは 冷凍のシューマイ2パックだけのはず。あれがつっかえるわけがない。 ふとあの奇妙な音を思い出す。ま、まさか、冷凍庫の中に何かが棲んでいるとか。 いやそんなスティーブンキングみたいな話があるわけはない。 だが、かたかたかしゃんという音はどうかんがえても通常の冷蔵庫から 発せられる音ではない...

思い切って勢いをつけて引っ張った。がらがらがっしゃん。冷凍庫から 溢れて来たのは大量の氷であった。 そっそうか。これが噂に聞く自動製氷器というやつだったのか。 アメリカ人なんでも自動化したがるからな (日本にもある?)。 あの音は氷を作っている音だったのだね。 それにしてもトレイ山盛りの氷、使い道がないので流しに捨てた。

10/17(Fri) Dance 'til ya fall down

19:00から踊りに行くことになっているんだが全然仕事が終らない。今18:59。 飲んで踊ってから続きをやるか? どっちにせよちょっとやそっとでは 終りそうにない。 む、こんなものを書いているうちに既に19:01。行くとしますか。

...

... で、結局今帰って来たとこ。02:15。また休日出勤決定ですな。 いやー踊った踊った。おまけに騒がしいところで怒鳴るように会話してたんで 喉ががらがら。慣れない靴を履いていたんで足も痛い。 (襟付きのシャツに長ズボン、靴を履いてないと店に入れないのだ。 普段Tシャツ短パン&サンダルで全てを済ませている私はわざわざ 一度家に帰って着替えた)。

途中で、女性陣が休息を取るためフロアから離脱し、私とロシア人の同僚 (♂) とで踊っていたら、そばにいた男にいきなり "Are you a gay?" と尋ねられた。 その場では笑って "No, I'm straight" と答えたが、後でふと気付く。 ひょっとしてナンパされていたのか?!

日本でクラブっつうもんに行ったことが無いんで比較できないのだが、 こっちでは結構年齢層が高いんじゃなかろうか。頭に白いものの交じった おじさんおばさんが情熱的に踊っていたりする。それともそもそもそういう ものなのか。 ちなみにUSではこういう店には未成年は決して入れないようになっている (ちょっとでも若く見えると必ずIDの提示を求められる)。

以前の日記で.ac.jpサイトへのアクセスがきついという話を書いておいたが、 最近ずいぶんスムースになった、と思っていたら、 今月に入ってnacsisが 回線増強 していたそうな。6Mから45Mですか。違うわけだ。

10/16(Thu) 消去

痒い。こないだの日焼けの結果、身体中の皮がむけはじめた。

仕事中のディレクトリで不要なファイルを消そうとして、 痒みに気を取られたせいかコマンドをタイプミス。必要なソースファイルも含め 一切合財きれいさっぱり消しさってしまう。すっかりやる気がなくなる。 いいんだどうせ動かなかったし。別のアプローチを考えよっと。

昼、イラン出身のKavehと中国人の手打ちうどんを食べにゆく。 手打ちのnoodleは始めて食べたという彼は2食分ぺろりとたいらげる。 しかしベジタリアンな彼は混入している肉をすべて寄りわけ 私にくれるのであった。

タイプミスによるファイル消去はただの間抜けだが、 突然の停電により作業中のファイルを失った、という経験をした人は 少なくないだろう。 思い出すのは数年前、卒論締切日のことである。 それまでしばらく大学に泊り込みでデータ取りをしていた私は、 締切前日に家に戻り、徹夜で論文の仕上げにかかっていた。 季節は2月半ば、電気ストーブをがんがんつけてコタツにもぐりこみ、 ひたすらキーボードを打ち続けて迎えた朝の5時。

かちり。

電気炊飯器のタイマーが入った。

直後、許容量を越える電流を検知した遮断器は電源供給を停止し、 計算機の主記憶上にあった論文の主要部分は闇の彼方へと消え去ったのであった。

同日朝8時、研究室から電話をかけてきた級友に 「どうしよう、まだ全然出来てないよ」 というと「皆出来てないから大丈夫だ」。 実は伝統あるT大電子工学科には恐るべき裏技があったのだ。 それにより私は当日11時の卒論締切を無事乗り越えたのである。

思い出話はここまで。気をとりなおして夕食の買いだし。 ハワイにいて嬉しいのは魚がおいしいこと。 日本の基準だと別にどうということはないが、 ロスでは普通のスーパーでついぞ旨そうな魚を見なかったので、 もーこちらのスーパーで刺身用鮪切身など見た日にゃよだれがじゅるじゅるである。

本日は鯛と烏賊がうまそうだったので刺身にする。 こないだ鮪を万能包丁で切ったらぐちゃぐちゃになってしまったのに 懲りているので、気合いをいれて刺身包丁も買ってしまった。 ををを。流石の切れ味。 不揃いなのに目をつむればプロがやったみたい (ほんとか)。 しかし「10日にいっぺん研げ」と書いてある。 そんなまめなことが自分に出来るだろうか...

10/15(Wed) Java

今日は朝から晩までお仕事。ホッケーも雨で中止だったし。

プロダクションツールの製作の合間にちょっとアンビシャスなことに 手をだしているんだが、なかなかうまく動いてくれない。 某社のツールの拡張言語がいまひとつ使いにくいので、 Java VMを無理矢理リンクして拡張言語をJavaに置き換えてしまおうという試み。 そしてその上にKawaというJavaで書かれたScheme処理系を載せてしまえば 自分にとって理想的な環境となる。うしし。 (プロジェクト名Laxa。ここまで来ると某社のツールが何なのか わかる人にはわかってしまうな。別に機密ではないんだけど)。 デバッグで、CとC++とJavaのコードをごっちゃにして追っていると 互いに似ているだけにわけわからなくなる。

そう言えばSunとMicroSoftのJavaを巡る戦い、 双方が契約を公開するなどしておもしろくなって来ましたな。 Unix文化で育ち、フリーソフトのソースコードを読んで勉強した 自分としては、MicroSoftの立場は支持し難いものがある。 規格をオープンにして、競合する実装を許すことは ソフトウェアの進歩に必要でしょう。やっぱ。

ところで先日、日本の知人に頼まれUltima Onlineを買って送る。 ついでに自分の分も買ったのだが、現在の非力なマシン上にはインストール する術がない。だいいちプレインストールのWindowsなど マシンを買ったその日に消し去ってしまった。 (今はいわずもがな、Linuxオンリーである)。 ここらで新たにPCを買うか。しかしそれ以前にUOで遊んでいる時間が あるのか大いに疑問。

む、なんか今日の日記はマニアックだ :-)

10/14(Tue) 特許/Seven Years in Tibet

先月末に、セガが3DCGを使ったゲームにおける視点変更に関する基本的な 特許を取得したとかで話題になっていたが、本日特許関係の話をweb上で 見ていたら こんなサイトが。 (いつもゲームに関してしっかりした分析をされる 山崎さん のところからたどったのだ)。

いやはや、世の中には凄い発明をする人がいる。 冗談抜きで、新しいものを創ろうというならこのくらいの発想の飛躍は 必要かもしれん。これで地に足がついてさえいれば...

本日の映画。"Seven Years in Tibet"。 おもしろい。じっくり観る映画が好きな人にはおすすめかも。 歴史モノだけど、あんまり構えてないところが観やすい (そのぶん掘り下げが浅いと感じるところもあるかもしれないが)。 画には力があると思う。 ダライ・ラマがずいぶん気さくなキャラクターで、まるで 田舎でよく遊んだ隣の健ちゃんって感じだったが、それも演出か。 それにしても、チベットではみんな五体投地しとりますな。

10/13(Mon) L.A. Confidential

昨日ビーチでたっぷり遊んで来たのだが、今朝起きたら 全身の皮膚がつっぱっている... 曇空だからといって なめてかかったのがまずかったらしい。 ハワイの太陽をばかにしてはいけない。 うーん、これはまた皮が剥けそうだな。

夜、先日同僚に勧められた映画 "LA Confidential" を観に行く。 なかなか良く出来ていた。良く出来たサスペンス小説を読んでいる感じ。 しかしなにしろセリフが多い。普通の映画の2倍くらい喋っているんじゃ なかろうか。だいたいの映画ではセリフはかなり聞き取れるように なってきたのだが、今回は「何言ってんだかわかんねーよ」状態。 話の構造はわかったけど。役者が良い。

10/11(Sat) 乗馬

みんなでお馬さんに乗って来ました。 同僚のNorikoが毎週レッスンを受けている牧場で2時間のトレイルツアー。 牧場の裏手の谷はJurassic Park等のロケに頻繁に使われるところで 眺めはものすごく良い。 さすがに慣れずに2時間乗っていると降りてからなんだかがにまたに なった気がするのは仕方ないでしょう。

行き帰りの車の中、ロシア人の同僚と「C++は使えるか」「WinNTは使えるか」 について大討論。ちなみに私、「計算機言語の違いなんて表面的なものさ」 と言いつつこよなくSchemeを愛し、「OSなんて好きなの使えばいいじゃん」 と言いつつ自宅のPCはLinuxオンリー。それが言葉の端々に滲み出て 彼を刺激してしまったようだ。むー。この手の話題は殆んど宗教論争で、 異なる価値観は永遠に平行線をたどるのである。

10/10(Fri) ハワイの雨

... は時間的にも空間的にも局所的に降るようだ。 ものすごい土砂降りが2時間くらい続いたかと思うとからっと晴れたり、 1ブロック前ではすごい雨だったのに次のブロックではほとんど降っていない なんてこともある。

今朝のホッケーにJoeが来なかった。珍しいこともあるものだと思っていたら、 Joeの住むDiamond Head付近はterrible weatherだったそうな。 「え!あんな天気の中でホッケーやったのか!」と驚いていたが、 こっちはちょっとしか降らなかったのだ。 「やー、ネットが無くてやりづらかったなー (いつもはJoeが手作りのネットを 持ってくる」なんてことは言わず、"It's OK" とにこやかに答えたが 腹の中ではひっひっひ、これからはこっちが休んでもあんまり怒れまい :-)

だが全体的に天気は下り坂。 午後から断続的に雨が降り始めた。 週末もあんまり良くないとラジオで言っていたし。 明日は皆で乗馬に、明後日はピクニックに行く予定なのに。

夜、映画 "U Turn"。 救いのない、絶望的なテーマをブラックな笑いに包んでいる。 Clair Danesはちょい役だがやっぱりかわいい (100%主観)

10/9(Thu)

昨夜帰り際にちょっと打ち合せた仕様変更を実装するもうまく動かず。 簡単そうだと思ったんだがな。あきらめて帰宅。

車の保険の会社から手続きの催促の手紙。 一昨日ちゃんと手続きしたのに。行き違いか。 しかしそもそも契約書と請求書を2重に送って来たのはあんたらだぞ。 そう、なぜか重複して契約したことになっていたのだ。 もちろん支店にクレームして片方をキャンセルしてもらったが、 この国ではこういうミスはしょっちゅうである。 何事も人任せではなく自分でチェックして、 おかしなところがあれば自分から言い出さなければならない。 もっとも、人間だれでもミスはするもの。 だいたいは悪びれもせず、"Oh, sorry" とかおおげさに言って済ませてしまう。 悪く言えばいいかげん。良く言えばおおらか。 自分もよくポカミスをするから、こういうほうが気楽でいいのだが、 何事もきちんとしなくちゃ気が済まない人にはつらい社会かもしれん。

10/8(Wed) Early bird

最近は何とか早起きが板について来たかも。週3回月水金の朝は 8:00からホッケーで、行かないとJoeに睨まれるし。 そもそもハワイオフィスってSquare社内では一番平均出勤時間が 早いんじゃなかろうか (大阪は知らないが、東京では開発部の人間は だいたい昼過ぎ出社、LAでは10時〜11時、 ここでは9時に既にかなりの人数が出社している。 世の中の大半の会社に比べたらそれでも普通なのだろうが)。

ハリウッドのアニメータの中には早起き組が多い。 LAにいた時も、6時とか7時に出社している人がいた。で、4時か5時には 切り上げて長いeveningを楽しむのだ。もっとも〆切が近付くと そんなことは言ってられなくなる。

こっちでは逆に朝早くに泳ぐなりジムで一汗流すなりしてから 出勤というスタイルが多いようだ。 湿度が高いため、ホッケーなどした日にゃ一汗では済まず、 頭から水をかぶったようになるのだが。

10/7(Tue) Lost in Honolulu

うおっしゃー。ここ暫く取り組んでいた社内ツールの初版をやっとリリース。 まだやることはたくさんあるが、 基本仕様はこれで固まったので後は楽じゃ。 いわば、土台が固まって、骨組みが出来た状態。 システムの作成過程では、ここが一番楽しい時である。 いちおう骨組みがあるので実際に動かしてみることができるし、 実験的に機能を追加してみることもできるので あれやこれや拡張を考えるのも楽しい。 ま、次の仕事も待っているので あんまり遊んでいるわけにはゆかないのだが。

そういうわけで会社を後にした時はかなりうきうき気分。 食糧の買いだしにゆく必要があったのて、 ちょっと今日はいつも行かないところに足を伸ばしてみようなどと思う。 未知の街を走るのはわくわくする。 目についたスーパーマーケットで買物を済ませ、 さらに日本風のパン屋を発見 (和風という意味ではなく、 日本でよく売っているような菓子パンを売っているということ。 ロスではついぞ見かけたことがなかった)、閉店間際に駆け込む。 これで今夜の食事もOK。

そうこうしているうちに、大通りへ戻る道を一本曲り間違えた。 途端に、

迷った。

Honolulu市内は一方通行や左折禁止がむちゃくちゃ多いうえに、 道が曲りくねっている。俺は西へ行きたいのに、どの道も何故か そっちへ曲るのが禁止されている。ようやく知っている名前の通りに達し、 西へ進路を取ってほっとしたのも束の間、その道さえぐぐーっと 進路を変えてゆくではないか。 とっても夜景が綺麗な道も走った。 しかしまた来ようと思っても来れないだろう。

... 完全に方向感覚を失い、 とにかく一方通行を逆走しないように必死で運転して、 ふと気付くと見なれた道。いつからこの道に戻っていたのだろう。 方向感覚には結構自信あったのに...

10/6(Mon) 虹の彼方に

明け方降った雨が日の出とともにやんだらしい。

私のアパートは西向きなので朝日は差し込まないのだが、 早起きするためにいつもカーテンを開けて寝ている。 今朝も明るくなってきて、眠い目をこすりながら西の空を見ると実に見事な虹。 半円形よりさらに広いアーチをきれいに描いた鮮やかな虹の外側には うっすらともう一本の虹が。 あまりにはっきりしているため、光のいたずらとは思えないくらいである。

ざっと降ってかっと照るハワイでは虹を見る機会が多いが (思えば引っ越した最初の朝も虹を見たっけ) こんなに見事なのは始めてなので、家族に送る写真を撮ろうとカメラを出す。 しかし空いっぱいの虹は28mmのレンズには収まり切らないのであった。

後で、ロスへと飛びたったT (10/3の日記参照) のフライトは ちょうどその頃の時間だったと聞いた。 彼もあの虹を見たろうか。 飛行機からだったら運がよければ完全な円形の虹が見れるかも。

夕方、再び俄雨。 私のオフィスは東北向きの窓に面しているが、ふと外を見ると再び虹。 31階の高さなので、240度くらいの弧を描いている。 見とれているうちに太陽が雲に隠れ、消えてしまった。

10/5(Sun)

Honolulu近辺で、手軽にぶらぶらして買物や軽く食事をとれるところが見つからない。 もっぱらAla MoanaからWaikikiにかけてしか知らないのだが、 どうも観光客向けという感じがしてしまう。 観光の見所ならばたくさんあるんだが。 LAではSanta Monica周辺にいつもいりびたっていたので、 そういうのを求めてしまっているのかも。

何かマリンスポーツを始めればまた違うのかも。 とりあえず現在友人とウィンドサーフィン企画中。

それにしても今日も出勤したし、果たして遊んでいる暇はあるのか。

10/4(Sat) ゴドフスキー

昼過ぎにようやく起きだし、だらだらと水曜に届いた荷物の開封など。 決して多くはないのだが、それでもどこに収めるか考えつつ開けるのは 結構面倒くさい。

ピアノも3週間ぶりに弾いてみた。 信じられないほど指が動かなくなっていて驚く。 普段も週末しか練習していなかったんだが、こんなに違うものか。 音がなんとなくだるいのは指のせいか、輸送後調律してないせいか。 調律は頼んでおいたので来週あたりに来てくれるはずだが。

ピアノと言えば、世に難しい曲は山程あるが、 すんげえ難しいとされているショパンの練習曲集を編曲して さらに難しくしてしまった人がいる。 19世紀末から20世紀初めにかけて活躍したピアニスト、 レオポルド・ゴドフスキーである。 「左手だけで弾く別れの曲、革命、大洋」とか、 左手と右手でそれぞれ「蝶々」「黒鍵」を同時に弾くとかいう 職人芸的なものから、原曲をマズルカやポロネーズに仕立てあげてしまって いるものとか。 職人芸的な要素が強すぎるためか、はたまた難しすぎるためか、 近年演奏されることは滅多にないらしいが、 最近、web上でこのゴドフスキー編曲版のCDの販売を見つけ、 注文して送ってもらった→ここ

実はこれ、打ち込みによる自動演奏なのだが、 打ち込んだ方がピアノを熟知した調律師とあって、 自動演奏ということを全く感じさせない。実に「人間臭い」演奏なのである。 中学生の頃にテクノにはまった後 (当時はYMOね) アコースティックのライブ演奏に転向した私は、 打ち込みというものにどうも抵抗を覚えていた (ハートは数字では表せないぜ!) のだが、そんなことはないのだと悟らせてくれた。

10/3(Fri) 送別会

同僚で、ホッケー仲間でもあるカナダ出身のTが 諸般の事情により急遽プロジェクトを離れLos Angelesへと 戻ることになり、本日は友人のJ宅にてささやかなお別れパーティ。 徹夜で飲んでいたので正確には昨夜なのだが (10/4の朝にこれを書いている)。

パーティの趣旨からして馬鹿騒ぎするようなことにはならなかったが、 J夫妻によるTuna Steakがものすごく旨かったし、 皆で海に出て砂浜でゴルフしたり (Tは素っ裸になって泳ぎ回っていた。ハワイの海は夜でも暖かい。 波が高くてもやさしい感じがする。) 皆で持ち寄った旨い酒を次々に開けながら、いろんなことを話したり。 いい時間が過ごせたと思う。

現在のプロジェクトにコミットしていたTにとっては これからって時に去らなけれればならないのは辛いことに違いない。 内心の思いを一生懸命に抑えて笑おうとしているのは痛々しかったが それ以上に、そういう場面でうまく話し掛けられない自分がもどかしかった。 ただ皆Tのことは尊敬していたし、一緒にいた時のことは忘れない。 がんばれT。またチャンスはくるはず。

10/1(Wed) 荷物が届いた

LAから発送した荷物が2000マイルの海を越えようやく届いた。 3週間。噂によると3週間ずっと船に載せられているわけではなく、 港で船を待っている時間の方が長いそうなんだが。 ま、無事に届いて何より。

家具が届くまでどうしていたかというと、 実は現在のアパートメントは家具付きなのだった。 家具無しの物件があまり見付からなかったうえに、 家具付きとほとんど条件が変わらなかったりしたので、 こちらを選んだ。 というわけで現在家具が2セットある状態。 元からある家具を物置 (建物のどこかにあるらしい) にしまうように不動産屋さんに手配を頼んでいる。 もともとそんなに家具持ちじゃないからあまり困らないんだけどね。 東京からLAに移った時は一切家具無しで2週間近く暮らしたから、 雨露しのげる場所とutility (電気ガス水道) さえあれば 人間けっこう暮らせるものである。

ちょっとげんなりしたのは引っ越し屋さんの仕事ぶり。 会社辞令での転勤なので、会社がdoor to doorの引っ越しの手配をしてくれたのだが、 LAでの梱包・搬出のスタッフは実に手際が良く、 プロフェッショナルとはこういうものかと感心したものである。 今日のスタッフはなんかやる気なさそうで、 まあ人間やる気の出ない日もあるから仕方無いんだが、 ピアノを組み立てた後残っていたワッシャをわざとらしく隠そうとするなよな (口笛を吹きながら他の荷物で隠そうとしたってだめだぞ ← わかりやすすぎ)。

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Shiro Kawai
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